小ネタ集4

❰君の微笑み❱アリス視点。


その日、お坊っちゃまは学校を休んだ。
朝は私に泣きついて、昨日の夜も泣いていたらしくて、お坊っちゃまの顔は大分泣き腫れていたのだ。流石にこの顔で学校に行かせるのは良くない。私はメイド長や執事長に休ませてもらえないか、お願いしに行った。お坊っちゃまも私についてきた。二人はお坊っちゃまの顔を見て、学校を休ませる許可をくれた。


それから部屋に戻ってから、お坊っちゃまは私から離れなくなった。私をベッドの上に座らせ、膝に頭を乗せたり、手を繋いだり、抱きついてきたりとやたらスキンシップしてくるのだ。

こんな甘えてくる子だったっけ?
今まで離れていたから、それを補うようにしているのかもしれない。

と、私はポケットに入れていたものを思い出して、それを取り出す。



「…どうぞ」

「何?」


昨日作ったお菓子をラップで包み、持ってきた。お坊っちゃまはわけがわからず、首を傾げていた。



「あれ、いらなかったですか?お坊っちゃまが欲しがっていたお菓子ですよ。マドレーヌです」

「お菓子?何で?いつも言ってもくれなかったじゃん」

「そうですね。でも、ちゃんと許可は取りましたよ。一週間に一度程度なら、お坊っちゃまに出してもいいって」

「本当か!?」

「はい」

「やったー!」


ラップをはずして、その一つをお坊っちゃまの口に入れる。すると、お坊っちゃまはもぐもぐ食べた。飲み込んでから、私にキラキラとした顔を向けて言う。



「うまい!もっとちょーだい!」

「わかりました」


頬をいっぱいにしながら、食べる姿に小さく笑う。持ってきたお菓子はあっという間に全部平らげてしまった。



「また作ってくれる?」

「はい。また作って持ってきてあげますから」

「絶対だからな!」


そう君は笑った。





【END】
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