Sumire
俺には兄弟がいる。
と言っても、ほとんどは半分しか血が繋がっていない。
「スミレー!」
「ライ。どーしたん?」
「これから女のマンションに行くんだ。複数いるから、おまえも来ねえ?」
「マジ?行く!」
「スミレなら、そう言ってくれっと思ってたぜ」
「女、何人いんの?」
「4人」
「複数人とヤれんだー!」
兄弟達の中でライと一番気が合う。あとはエド兄くらいか?それ以外のやつらとは、正直言ってあんま合わない。話すくらいなら話せるやつもいるけど。
その女達が待つというマンションに着くと、4人共全員美人だった。これは予想以上に楽しめそうだ。
翌日。
朝まで目一杯楽しんだ俺達。女達と別れて、マンションを出た。すげー相性が良かった娘とも連絡先の交換は出来たし、また次会う約束もした。
「最高だったー!」
「だろ?」
「ああ。てか、屋敷まで距離あるから、タクシーつかまえようぜ」
「おれ達には屋敷にかけても、迎えに来てくれる執事はいねーからな」
そう。俺とライには専属執事はいない。いや、ライには随分前にいた。マホガニーという執事が。俺にも優しくて、気に入っていたんだけど、身体を壊してしまい辞めてしまったのだ。その後も何人かついたが、ライについていけるやつは誰もいなかった。
「スミレはいるじゃん。専属執事」
「アイツは専属とは違う。全然、俺の言うこと聞かねーし」
他のやつらは、それぞれ専属執事と仲は良いが、俺は、全然仲良くない。むしろ険悪と言った方がいい。マジでうっせぇんだもん。
「ま、あいつもおまえもツンデレだからな」
「誰がツンデレだ!!」
「間違えた。おまえはおれに対しては、ほぼデレしかねーわ。たまにあるツンは一年に数回程度だし。エド兄にはデレデレだよな」
俺、ツンデレじゃねーし。どこ見たら、ツンデレに見えんだよ。エド兄は尊敬してるからな。
結局、タクシーをつかまえて、屋敷に帰ることにした。その車中でライが言った。
「なあ、スミレ」
「ん?」
「おまえ、一番好きなタイプあるか?」
「好きなタイプ…」
ライにそう尋ねられ、ふと浮かぶ顔があった。
黒髪で少しウェーブがかかった長い髪。露出の高い服を着て、豊かな胸を見せつけるようにしながら、甘い声で俺の名前を呼んでくれる彼女。そんな彼女に俺は夢中だ。
「………特にない」
「ふーん。いたら、言えよ!気が向いたら、おれがセッティングしてやるから」
「気が向いたらかよ!」
ライのことは気に入ってる。話は合うし、一緒にいても楽しいし。学校でつるむやつらとは、また違う。
でも。
俺が密かに思う女は、ライを気に入ってる。恋人ではないが、よくライの部屋に来てるのも知っている。部屋で何をしているのかということも。たまに俺のことも相手してくれるが、ライよりは断然少ない。他にも沢山、相手をする男はいるから。
カメリア。
どうしたら、君は俺のものになってくれる?
【END】
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