特別番外編Ⅲ
「ふふふ。たーのしい!」
エルシーは、カメリアに蔑ろにされているセセリを哀れに思っていた。
「こんなにも上手くいくなんてね…」
セセリにカメリアが他の男と一緒にいるところを何度も見させた。日に日に絶望していく彼を、こちらに向けさせた。私は、貴方の味方だと言って…。
「カメリアは馬鹿ね。貴女のことを一途に愛してた婚約者を蔑ろにするから悪いのよ」
クスクスと笑うエルシーは、自分が悪いとは一切、思っていない。奪われる者が悪いと思っている。
「でも、わたしも欲しいんだよね。ドルチェ家のお人形さん達」
エルシーも幼い頃から、ドルチェ家には出入りしていた。父親がドルチェ家当主であるアメジストの仕事に関わっているから。
それに彼女はカメリアと違い、兄弟達には嫌われていない。そう。カメリアが狙っている彼らには。
「さて、セセリは他の女の子達に任せて、わたしはお人形さん達を狙おうかな。ここはやっぱり牡羊座(グレン)?それとも魚座(カルロ)?またはカメリアのお気に入りの双子座(エド)?射手座(ブラッド)?獅子座(ライ)?天秤座(スミレ)?どれにしようかなー♪」
ニコニコと楽しそうにエルシーは、トランプで占い始めた───。
【END】
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