Boy and Maid2




【ハルクside】

車に戻る途中、オレは公園で会った女からもらったお菓子を食べながら歩いていた。



「ところでお坊っちゃま、さっきから何食べてるんですか?」

「もらった」

「お知り合いですか?」

「知らない」


オレは首を振る。
だって、お菓子を食べながら、泣いてんだぜ。それが気になって声かけただけだし。



「はあ!?色々突っ込みが多すぎるんですけど!というか、見知らぬ人間からもらったものなんて食べないでください!!」

「すげーうまかったぞ、これ」


もらったお菓子を見せ、その一つをアガットの口に放った。



「うん、おいしいですね…って、食べさせないでくださいよ!」

「うまいもんはうまいじゃん。なー、アガット。これ、どこで売ってるかわかる?」

「売っていませんよ」

「え?店にないの?ウソだろ…」

「これ、手作りですからね。お店には売っていません」

「手作り?」

「はい。だから、お店では手に入りませんよ。……って、お坊っちゃま!」


オレは急いで、お菓子をくれた女を探しにあちこち走り回る。しかし、姿は見つけられなかった。

いない!もっと早くアガットに聞いてたら…。

あのお菓子は本当にうまかった。あれだけでもうまいなら、他のお菓子もうまいに違いねェ。

そこへオレを追いかけてきたアガットがやってきた。



「お坊っちゃま、元気ありすぎですよー。ほら、早く帰らないと俺まで叱られちゃうんですから」

「わかった…」


それからもソイツと会った公園を何度も訪れるが、会えることはなかった。





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