Boy and Maid 8
ある空き教室で、二人の男女が抱き合っていた。彼らは授業をサボって、行為に及んでいた。それを咎める大人はいない。何故なら二人の親は、この学園に多額の寄付をしているため、逆らえる者はいないからだ。逆らえば、自分が辞めさせられてしまう。だから、例え見つけても見て見ぬ振りなのである。
「楽しかったわ、ライ」
黒髪に紫色の瞳の少女が落ちている自分の下着を拾い、それらを身につける。その様子をライと呼ばれた少年が黙って見ていた。
「カメリア。まだ時間あんじゃん。もう一回ヤろうぜ」
「だーめ。今日は放課後に別の人と約束してるの。あまり痕が残ると嫌がられるから」
「ふーん。相手、誰?」
「知りたい?」
「知りたい」
すると、カメリアはライの膝の上に乗り、向かい合うように座る。そして、吐息がかかるくらいまで顔を近づけて、話す。
「ヘリオトロープくん」
「えー。あいつとヤって楽しいかー?」
「全然。ガツガツしてる上にテクもないし、ひとりよがりなのよ、彼。正直、下手くそ…」
「そんなの一人でやんのと変わらねーじゃん。キャンセルすれば?」
「それは出来ないわ。彼、あたしに会いたいって、毎日連絡してきてたんだもの。そろそろ会ってあげないとかわいそうでしょ?」
「下手くそとヤる方がかわいそうじゃね?」
「だから、ライとシたんじゃない…」
どちらともなく、二人は唇を重ねる。
男はライ・ドルチェ。
有名なドルチェ財閥の息子の一人。見た目はおとなしそうに見えるが、内面はかなりやばい。そのため、兄弟の中で一番問題を起こしているが、すべて父親が金で解決している。本人も次々に問題を起こすため、よく覚えていないことが多い。この外見から誘えば、大抵は困ることはない。好みならば男女問わずだが、性癖にかなりの問題があるため、相手に逃げられることも。彼の場合、逃げられると追いかける傾向がある。
女の方は、カメリア・セミフレッド。
セミフレッド家の長女。見た目はキレイな令嬢だが、かなりの遊び人。婚約者もいるが、色々な男と関係を持っている。婚約者は彼女に惚れているため、何も言わない(※正しくは自分以外の男のところへは行かないで欲しいのだが、言えば婚約を破棄されるから言えないだけである)
だが、彼女の場合、結婚しても、一人に絞ったりはしない。きっと色々な男と遊ぶであろう。女からかなり恨まれているが、まったく気にしていない。同性の友人はいないが、貢ぐ男は沢山いるために困ってはいない。
そんな二人は付き合ってはいないが、たまにこうして体を重ねていた。
「ライは上手いわね。久々にシて、改めて思った」
「明日もここでする?」
「ふふ、考えとくわ」
カメリアがライの上からどき、スカートを穿いて、ブラウスを羽織る。
「ライとも楽しいんだけど、他の兄弟ともヤりたいのよねー。どんな反応するのか、すごい気になるの。特に上の二人」
「リク兄はともかく、カルロなら遊ぶだけの女とならヤれそうだけどなー」
「そう聞いたから、何度も声かけてみたわ。毎回用があるって断るのよ!」
カメリアの話を聞き、ライはしばし考える。
「カルロ、本命でも出来たんじゃねーの?」
「本命!?今までいない方がおかしいのよね。あの顔で…」
「なーんてな。一時期に比べりゃ、家に帰ってくるようにはなったけど、カルロには本命いねーよ。たまに朝帰りもしてくっし。家に連れて来たりはしねーけど」
「じゃあ、リクは?」
「リク兄は、相変わらず女っ気は全然ねーな。ヤったことすらないんじゃね?」
ケタケタ笑うライに、カメリアは同意しない。
「そうかしら?リクに一度迫ってみたことあるけど、あれは童貞じゃなかったわよ」
「既に迫ってたのかよ。てか、リク兄、童貞じゃねーって、マジ??」
「童貞みたいな雰囲気はなかったもの。ガツガツもしてなかったし。元からリクはそういうタイプじゃないけど、あれは経験してるわよ。誰としたのか気になるけど」
「へぇ。リク兄のキレた顔なら、結構タイプなんだよなー。俺」
「あの温厚なリクを怒らせるなんて相当よ。何したの?」
「うちにいるメイドに手を出してたら、リク兄が通りかかったんだよ。気にしないで続けようとしたら、リク兄に軽くボコられた。しばらくは体が痛かったな。ヤりたくてもヤれなかったのが超しんどかったー」
「リク。機嫌でも悪かったのかしら?」
「まあ、機嫌は悪かったんだろうなー」
ニヤニヤしながら、カメリアの背後から抱きしめ、太ももを触る。しかし、カメリアは別のことを考えていたため、ライの表情には気づかない。
「そういえば、久々に中等部に行った時にタスクとハルクも見たけど、あの二人も成長してたわ。二人の初めてを奪うのも楽しそうよね。ドラはまだ小学生だから、手は出さないけど、あの子も外見が目立つから侍らせたいわ」
「下三人は、一途だぜ。他の女にまったく興味は示さねーよ」
「上三人とは違うの、ね!」
カメリアは太ももを触るライの手を叩く。だが、ライは叩いても触るのをやめず、話し続ける。
「タスクは婚約者のリコリスだけ」
「リコリス?ああ、スプモーニ家の令嬢のことかしら」
「そう。んで、ハルクとドラはそれぞれうちのメイドに夢中だから」
「メイドに?」
「そ。世話係になったメイド。俺も世話係、欲しいんだけど、ボルドー達の許可がまったくおりないんだよなー」
「あなたの場合はすぐに手を出すからでしょ?男も女も」
「まあなー。手を出さなきゃいけない使命にかられてさ」
「メイド、ね…」
カメリアも使用人に手を出したことは何度かある。しかし、どの相手とも一度遊んだだけで続くことはない。全然良くなかったからだ。だが、使用人の方は違う。一度だけで満足出来ず、彼女に関係を迫って来たこともあったが、クビにして家から追い出した。それでも付きまとってきた者には父親に言って、警察に突き出したこともあった。それからカメリアは、使用人には手を出さなくなった。
「そういやー、アリスに手を出しかけた時はハルクにやられたこともあったなー」
女の名前を聞いて、カメリアが反応する。
「アリス?誰その女…」
「ハルクの世話係してるメイド。歳は俺達と同じ18。ちなみに俺が手を出しかけて、リク兄にボコられたのもそいつが原因」
「ハルクの世話係なのに、どうしてリクが…?」
「うちに入る前に知り合ったって聞いたぜ。アリスはリク兄が好きなんだよ。リク兄もアリスに対してだけは、他のメイドとは違うし。そいつが倒れた時、リク兄が抱き抱えて運んだこともあったぜ。ドラもアリスには普通に話してたり、自分の実験とか手伝わしてるし。タスクもよくアリスとは関わってるな」
「下の三人は使用人、特にメイドには近づかないんじゃなかったの?」
「それはもう昔の話だぜ。カルロやリク兄狙いのメイド達がよく弟達を利用してたからなー。あの三人、結構容赦なく攻撃すっから」
「あの三人ならやりそうね」
「話戻すけど、カルロに塩対応してるから、逆に気に入られてるんだよ。アリスは」
「リクだけじゃなく、カルロも…」
カメリアはどんどんと顔を険しくさせる。ライはそれには気にせずに話してく。
「随分前にも遊園地嫌いなカルロがアリスと遊園地で遊んだこともあったなー。そしたら、それを聞いたハルクが苦手なテストで高得点出して、アリスと遊園地に行ったけど」
「ライもそのメイドを気に入ってるでしょ?」
「ああ、すげー面白れーから。一度ヤれたらって狙ってんだけど、毎回邪魔が入んだよなー」
楽しそうに笑うライにカメリアは思う。
(女の名前を覚えないライが覚えているというだけでそのメイドは特別なのだろう。あたしの名前だって、ようやく覚えたのも今年になってからだ。体の関係は三年も経っているのに…)
「他にはないの?」
「カメリアと同じくらいは胸あんじゃねーかな。処女のわりに結構スタイルいいんだよな…」
「体じゃなくて、中身よ」
「中身か。モテそうだけど、すげー鈍感なんだよ。ハルクがよくフグになってることあるし。アイツ、アリスに関してはすげー心が狭くなるから」
「ねぇ、その女の名前わかる?ファミリーネーム」
「アリスの?なんだっけ?確か、デザートみたいな名前の……パンナコッタ!アリス・パンナコッタだ」
その名前を聞いて、カメリアの美しい顔は歪む。
(……ああ、またか。あの女…)
.
「楽しかったわ、ライ」
黒髪に紫色の瞳の少女が落ちている自分の下着を拾い、それらを身につける。その様子をライと呼ばれた少年が黙って見ていた。
「カメリア。まだ時間あんじゃん。もう一回ヤろうぜ」
「だーめ。今日は放課後に別の人と約束してるの。あまり痕が残ると嫌がられるから」
「ふーん。相手、誰?」
「知りたい?」
「知りたい」
すると、カメリアはライの膝の上に乗り、向かい合うように座る。そして、吐息がかかるくらいまで顔を近づけて、話す。
「ヘリオトロープくん」
「えー。あいつとヤって楽しいかー?」
「全然。ガツガツしてる上にテクもないし、ひとりよがりなのよ、彼。正直、下手くそ…」
「そんなの一人でやんのと変わらねーじゃん。キャンセルすれば?」
「それは出来ないわ。彼、あたしに会いたいって、毎日連絡してきてたんだもの。そろそろ会ってあげないとかわいそうでしょ?」
「下手くそとヤる方がかわいそうじゃね?」
「だから、ライとシたんじゃない…」
どちらともなく、二人は唇を重ねる。
男はライ・ドルチェ。
有名なドルチェ財閥の息子の一人。見た目はおとなしそうに見えるが、内面はかなりやばい。そのため、兄弟の中で一番問題を起こしているが、すべて父親が金で解決している。本人も次々に問題を起こすため、よく覚えていないことが多い。この外見から誘えば、大抵は困ることはない。好みならば男女問わずだが、性癖にかなりの問題があるため、相手に逃げられることも。彼の場合、逃げられると追いかける傾向がある。
女の方は、カメリア・セミフレッド。
セミフレッド家の長女。見た目はキレイな令嬢だが、かなりの遊び人。婚約者もいるが、色々な男と関係を持っている。婚約者は彼女に惚れているため、何も言わない(※正しくは自分以外の男のところへは行かないで欲しいのだが、言えば婚約を破棄されるから言えないだけである)
だが、彼女の場合、結婚しても、一人に絞ったりはしない。きっと色々な男と遊ぶであろう。女からかなり恨まれているが、まったく気にしていない。同性の友人はいないが、貢ぐ男は沢山いるために困ってはいない。
そんな二人は付き合ってはいないが、たまにこうして体を重ねていた。
「ライは上手いわね。久々にシて、改めて思った」
「明日もここでする?」
「ふふ、考えとくわ」
カメリアがライの上からどき、スカートを穿いて、ブラウスを羽織る。
「ライとも楽しいんだけど、他の兄弟ともヤりたいのよねー。どんな反応するのか、すごい気になるの。特に上の二人」
「リク兄はともかく、カルロなら遊ぶだけの女とならヤれそうだけどなー」
「そう聞いたから、何度も声かけてみたわ。毎回用があるって断るのよ!」
カメリアの話を聞き、ライはしばし考える。
「カルロ、本命でも出来たんじゃねーの?」
「本命!?今までいない方がおかしいのよね。あの顔で…」
「なーんてな。一時期に比べりゃ、家に帰ってくるようにはなったけど、カルロには本命いねーよ。たまに朝帰りもしてくっし。家に連れて来たりはしねーけど」
「じゃあ、リクは?」
「リク兄は、相変わらず女っ気は全然ねーな。ヤったことすらないんじゃね?」
ケタケタ笑うライに、カメリアは同意しない。
「そうかしら?リクに一度迫ってみたことあるけど、あれは童貞じゃなかったわよ」
「既に迫ってたのかよ。てか、リク兄、童貞じゃねーって、マジ??」
「童貞みたいな雰囲気はなかったもの。ガツガツもしてなかったし。元からリクはそういうタイプじゃないけど、あれは経験してるわよ。誰としたのか気になるけど」
「へぇ。リク兄のキレた顔なら、結構タイプなんだよなー。俺」
「あの温厚なリクを怒らせるなんて相当よ。何したの?」
「うちにいるメイドに手を出してたら、リク兄が通りかかったんだよ。気にしないで続けようとしたら、リク兄に軽くボコられた。しばらくは体が痛かったな。ヤりたくてもヤれなかったのが超しんどかったー」
「リク。機嫌でも悪かったのかしら?」
「まあ、機嫌は悪かったんだろうなー」
ニヤニヤしながら、カメリアの背後から抱きしめ、太ももを触る。しかし、カメリアは別のことを考えていたため、ライの表情には気づかない。
「そういえば、久々に中等部に行った時にタスクとハルクも見たけど、あの二人も成長してたわ。二人の初めてを奪うのも楽しそうよね。ドラはまだ小学生だから、手は出さないけど、あの子も外見が目立つから侍らせたいわ」
「下三人は、一途だぜ。他の女にまったく興味は示さねーよ」
「上三人とは違うの、ね!」
カメリアは太ももを触るライの手を叩く。だが、ライは叩いても触るのをやめず、話し続ける。
「タスクは婚約者のリコリスだけ」
「リコリス?ああ、スプモーニ家の令嬢のことかしら」
「そう。んで、ハルクとドラはそれぞれうちのメイドに夢中だから」
「メイドに?」
「そ。世話係になったメイド。俺も世話係、欲しいんだけど、ボルドー達の許可がまったくおりないんだよなー」
「あなたの場合はすぐに手を出すからでしょ?男も女も」
「まあなー。手を出さなきゃいけない使命にかられてさ」
「メイド、ね…」
カメリアも使用人に手を出したことは何度かある。しかし、どの相手とも一度遊んだだけで続くことはない。全然良くなかったからだ。だが、使用人の方は違う。一度だけで満足出来ず、彼女に関係を迫って来たこともあったが、クビにして家から追い出した。それでも付きまとってきた者には父親に言って、警察に突き出したこともあった。それからカメリアは、使用人には手を出さなくなった。
「そういやー、アリスに手を出しかけた時はハルクにやられたこともあったなー」
女の名前を聞いて、カメリアが反応する。
「アリス?誰その女…」
「ハルクの世話係してるメイド。歳は俺達と同じ18。ちなみに俺が手を出しかけて、リク兄にボコられたのもそいつが原因」
「ハルクの世話係なのに、どうしてリクが…?」
「うちに入る前に知り合ったって聞いたぜ。アリスはリク兄が好きなんだよ。リク兄もアリスに対してだけは、他のメイドとは違うし。そいつが倒れた時、リク兄が抱き抱えて運んだこともあったぜ。ドラもアリスには普通に話してたり、自分の実験とか手伝わしてるし。タスクもよくアリスとは関わってるな」
「下の三人は使用人、特にメイドには近づかないんじゃなかったの?」
「それはもう昔の話だぜ。カルロやリク兄狙いのメイド達がよく弟達を利用してたからなー。あの三人、結構容赦なく攻撃すっから」
「あの三人ならやりそうね」
「話戻すけど、カルロに塩対応してるから、逆に気に入られてるんだよ。アリスは」
「リクだけじゃなく、カルロも…」
カメリアはどんどんと顔を険しくさせる。ライはそれには気にせずに話してく。
「随分前にも遊園地嫌いなカルロがアリスと遊園地で遊んだこともあったなー。そしたら、それを聞いたハルクが苦手なテストで高得点出して、アリスと遊園地に行ったけど」
「ライもそのメイドを気に入ってるでしょ?」
「ああ、すげー面白れーから。一度ヤれたらって狙ってんだけど、毎回邪魔が入んだよなー」
楽しそうに笑うライにカメリアは思う。
(女の名前を覚えないライが覚えているというだけでそのメイドは特別なのだろう。あたしの名前だって、ようやく覚えたのも今年になってからだ。体の関係は三年も経っているのに…)
「他にはないの?」
「カメリアと同じくらいは胸あんじゃねーかな。処女のわりに結構スタイルいいんだよな…」
「体じゃなくて、中身よ」
「中身か。モテそうだけど、すげー鈍感なんだよ。ハルクがよくフグになってることあるし。アイツ、アリスに関してはすげー心が狭くなるから」
「ねぇ、その女の名前わかる?ファミリーネーム」
「アリスの?なんだっけ?確か、デザートみたいな名前の……パンナコッタ!アリス・パンナコッタだ」
その名前を聞いて、カメリアの美しい顔は歪む。
(……ああ、またか。あの女…)
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