Boy and Maid 7
❰side H❱
絶対、勘違いされた!
朝言われたアリスの言葉に何も返せなかった。嫌じゃない。すぐにそう返せたら、良かったのに!何やってんだよ、オレ。アリスとケンカしたいわけじゃねェのに。
ツツジと仲良く話してるアリスを見て、嫉妬した。アリスを見る度にそれを思い出して、いつものように話せなくなった。他のヤツに笑いかけて欲しくねェ。オレ、本当に心が狭い。カルロやタスク兄達に言われるわけだよ。
昼休み。
オレはタスク兄と一緒に飯を食っていた。いつもならコウ達と食ってるけど、今日は相談があるから、タスク兄とテラスに来ていた。
飯を食ってから、タスク兄に数日前のことを話した。
「ふーん。アリスにツツジと間違われたのがそんなにショックだったんだ」
「当たり前じゃん。他のヤツはどうでもいいけど、アリスには間違って欲しくなんかねェよ!」
「パッと見は似てるからなー。お前ら。従兄弟だから仕方ないんじゃね?てか、ツツジもアリスが気に入ったんじゃねェの?」
「え?」
「ツツジが誰かを車で送るなんてしたことねェじゃん?」
そう言われてみると…。
あのツツジが誰かに気を遣うなんて、今までなかった!
「……そうかも。しかも、アリスに名前、聞いてやがったし」
「確定じゃん」
「なあ。タスク兄、どうすればいい!?」
「オレに聞くなよ。自分で何とかしな」
「自分じゃわかんねェから、聞いてんじゃん!このままだとアリスが…」
「お前、本当にアリスのことしか頭にないのな」
「タスク兄だって、リコリスのことばっかじゃん!」
「あのな、前から言ってるけど、オレとリコリスは婚約してんだよ。婚約者なの!」
「知ってるよ…」
今更言われなくてもわかってる。だけど、タスク兄はオレを責めるように言ってくる。
「じゃあ、お前は?」
「え?」
「お前とアリスは何?婚約者?恋人?どっちも違うよな…」
「そ、れは…」
タスク兄とリコリスのように婚約しているわけじゃねェ。恋人でもない。何の関係と言われたら、雇い主の息子と使用人でしかない。
「そもそもお前とアリスでは身分が違うんだよ。アリスは世話係だから、お前といるんだよ。仕事なんだよ。そうじゃなきゃ、傍にいられないんだから」
「……そんなのわかってるよ」
年も違えば、恋愛対象にも見られてねェくらい。だけど、好きになっちまったんだから仕方ねェじゃん。
「全然わかってねェって!わかってたら、ここでオレにアリスのことを相談なんかしないだろ!」
「……っ!」
「言っておくけど、親父にアリスと一緒になりたいと言っても無駄だからな?あの親父がお前と庶民のアリスを一緒にさせるわけがない。お前の身分に見合う相手と婚約させるに決まってる」
「……」
「まだアリスと一緒にいたいなら、親父には絶対言うなよ?言ったら、間違いなくアリスは辞めさせられるからな。ハルク」
そして、昼休みの終わるを告げるチャイムが鳴った。タスク兄とはそこで別れ、自分の教室に向かう。
身分がなんだよ!好きでこの身分になったわけじゃねェし。身分なんかいらねェよ!オレだって、庶民になりたかった。そしたら、こんな身分差で悩んだりしねェのに…!
アリスが二十歳になったら、縁談が来ちまう。今は17だったよな。10月になったら18か。あと、二年しかいられない。まだ一緒にいたい。どうすりゃいいんだよ。
.
絶対、勘違いされた!
朝言われたアリスの言葉に何も返せなかった。嫌じゃない。すぐにそう返せたら、良かったのに!何やってんだよ、オレ。アリスとケンカしたいわけじゃねェのに。
ツツジと仲良く話してるアリスを見て、嫉妬した。アリスを見る度にそれを思い出して、いつものように話せなくなった。他のヤツに笑いかけて欲しくねェ。オレ、本当に心が狭い。カルロやタスク兄達に言われるわけだよ。
昼休み。
オレはタスク兄と一緒に飯を食っていた。いつもならコウ達と食ってるけど、今日は相談があるから、タスク兄とテラスに来ていた。
飯を食ってから、タスク兄に数日前のことを話した。
「ふーん。アリスにツツジと間違われたのがそんなにショックだったんだ」
「当たり前じゃん。他のヤツはどうでもいいけど、アリスには間違って欲しくなんかねェよ!」
「パッと見は似てるからなー。お前ら。従兄弟だから仕方ないんじゃね?てか、ツツジもアリスが気に入ったんじゃねェの?」
「え?」
「ツツジが誰かを車で送るなんてしたことねェじゃん?」
そう言われてみると…。
あのツツジが誰かに気を遣うなんて、今までなかった!
「……そうかも。しかも、アリスに名前、聞いてやがったし」
「確定じゃん」
「なあ。タスク兄、どうすればいい!?」
「オレに聞くなよ。自分で何とかしな」
「自分じゃわかんねェから、聞いてんじゃん!このままだとアリスが…」
「お前、本当にアリスのことしか頭にないのな」
「タスク兄だって、リコリスのことばっかじゃん!」
「あのな、前から言ってるけど、オレとリコリスは婚約してんだよ。婚約者なの!」
「知ってるよ…」
今更言われなくてもわかってる。だけど、タスク兄はオレを責めるように言ってくる。
「じゃあ、お前は?」
「え?」
「お前とアリスは何?婚約者?恋人?どっちも違うよな…」
「そ、れは…」
タスク兄とリコリスのように婚約しているわけじゃねェ。恋人でもない。何の関係と言われたら、雇い主の息子と使用人でしかない。
「そもそもお前とアリスでは身分が違うんだよ。アリスは世話係だから、お前といるんだよ。仕事なんだよ。そうじゃなきゃ、傍にいられないんだから」
「……そんなのわかってるよ」
年も違えば、恋愛対象にも見られてねェくらい。だけど、好きになっちまったんだから仕方ねェじゃん。
「全然わかってねェって!わかってたら、ここでオレにアリスのことを相談なんかしないだろ!」
「……っ!」
「言っておくけど、親父にアリスと一緒になりたいと言っても無駄だからな?あの親父がお前と庶民のアリスを一緒にさせるわけがない。お前の身分に見合う相手と婚約させるに決まってる」
「……」
「まだアリスと一緒にいたいなら、親父には絶対言うなよ?言ったら、間違いなくアリスは辞めさせられるからな。ハルク」
そして、昼休みの終わるを告げるチャイムが鳴った。タスク兄とはそこで別れ、自分の教室に向かう。
身分がなんだよ!好きでこの身分になったわけじゃねェし。身分なんかいらねェよ!オレだって、庶民になりたかった。そしたら、こんな身分差で悩んだりしねェのに…!
アリスが二十歳になったら、縁談が来ちまう。今は17だったよな。10月になったら18か。あと、二年しかいられない。まだ一緒にいたい。どうすりゃいいんだよ。
.