Boy and Maid 5

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「……あれ?」


私は顔を上げる。
もしかして、私、ちょっと寝てた!?しまった。お坊っちゃまは───ベッドの上に座っていた。

やばい!もう戻って来てる!?

「お坊っちゃま、戻っていたんですね!すみません!私、待っていたら、つい…」

「別に謝らなくていいって。気持ち良さそうに寝てたから、起こさなかっただけだし」

「いやいや、起こしてくださいよ!世話係がお世話する人に世話されるなんて、怒られちゃいます!」

「たまにはいいんじゃねェ?立場が反対になってもさ」


お坊っちゃまが笑っていた。
普通に笑っている姿、久々に見た気がする…。思わずお坊っちゃまをジーっと見ていたら、お坊っちゃまが変な顔をする。



「何?」

「いえ、私まだ夢を見ているのと思いまして…」


自分の頬を引っ張ってみた。……痛い。夢じゃない。



「何言ってんだよ!バカ」

「やっぱりいつものお坊っちゃまです!」

「どういう意味だよ!」

「ほら、それでこそ私の知っているお坊っちゃまです!あー、良かった…」


やっと元に戻ったわ。トキくんが言った通りね。
その後、お坊っちゃまに頭おかしいと思われたようだが、私は気にしなかった。





【END】
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