Boy and Maid 5
翌日。
お花見に二人で行く予定だったが、どこから話を聞きつけたのか、タスク様とリコリス様も急遽一緒に来ることになってしまった。
「お坊っちゃま、いいですか?」
「……別に。花見は人が多い方がいいんだろ…」
やっぱり変だ。
少し前までなら、絶対に「ヤダ」って言っていたのに…。
お花見中もいつものような元気さはなかった。タスク様達にはいつも通りだったけど、私には少し違う。話しかけたら話してくれるけど、お坊っちゃまからはまったく私に話しかけてこないのだ。
何か怒ってる?でも、無視はしないんだけど、何かいつもと様子が変だ。
花見を終えて、屋敷に戻ってきた。
タスク様達は、リコリス様の家に行くそうで、この場にいるのは、私とお坊っちゃまだけだ。
「お坊っちゃま、あの…」
「……オレ、部屋に戻る」
「え…」
「お前、今日は休みだったんだろ?じゃあ、明日は休んでいいから」
「えっ、でも…」
「オレからサルファーに言っておくから。じゃあな」
そう言って、お坊っちゃまは行ってしまった。
後を追いかけようとしたが、誰かに名前を呼ばれてしまい、行けなかった。
「アリス!」
「トキくん…とカルロ様」
「ハルクと出かけてたの?」
「はい。お花見に…」
「その割には暗いけど、弟くんと何かあった?」
「ケンカしたわけじゃないんだけど。…………あ!トキくん、話があるの!ちょっと来て。カルロ様、ちょっと借りますね!」
私はトキくんの腕を取り、中庭に連れてきた。
「どうした?」
「昨日、リゼルと会ったんだ」
「そっか。だから、アイツ…」
「ん?」
「いや、こっちの話。んで?」
「私、お坊っちゃまとスーパーに来てて、帰りにリゼルと会ったの。久々だからつい立ち話してたら、お坊っちゃまのことを忘れて…」
「ああ。もしかして、うちのリゼルと弟くんが鉢合わせした?」
「……うん」
睨み合ってる時は、二人を引き離さないとって思っていたけど。今考えると、それからだ。
お坊っちゃまの様子が少しおかしいのは…。
「リゼルも弟くんも似たタイプだからな…」
「確かに血気盛んなのは似てたね」
「そこじゃないんだけどなー。ま、あまり気にしなくていいと思うぜ」
「本当に?」
「ああ。しばらくしたら、弟くんも普通になるさ。今は放っておいてあげればいいよ。アリスは何もしなくていい」
トキくんがそう言うなら、放っておいた方がいいか。
「…わかった。取りあえずはそうしてみる。ありがとう」
「また何か会ったら言えよ」
「うん」
そう言って、私は自分の部屋に戻った。
翌日はお坊っちゃまが休みと伝えてくれたので、私は外に出ず、部屋で本を読んで過ごした。
「おはようございます」
お坊っちゃまの部屋にやって来た。お坊っちゃまはというと、いなかった。いたのは、アガットさんだけ。
「おはようございます。アリスさん」
「アガットさん。お坊っちゃまは?」
「まだ朝食から戻って来てないですよ。今日、いつもより遅かったので」
「そうなんですか…」
お坊っちゃま、まだ機嫌良くないのかな。トキくんは放っておいてあげればいいとは言っていたけど。
「アリスさん、大丈夫ですか?具合が悪いなら…」
「いえ、具合は悪くはないです!ちょっと心配事があるだけで」
「そうなんですか?具合悪いならすぐに言ってくださいね」
「はい。ありがとうございます」
すると、アガットさんは執事長に呼ばれているからと部屋を出て行ってしまった。部屋に一人残された私は、特にやることもなくて、お坊っちゃまの学習机に座ることにした。何か子供向けにしては大きいような?というか、特注なのかな。私のとは大分違う。
あまり使わないからか、机は結構キレイだった。勉強するタイプじゃないもんな。お坊っちゃまは…。
私は何となく机に突っ伏した。何だか学校にいるような感じがする。
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お花見に二人で行く予定だったが、どこから話を聞きつけたのか、タスク様とリコリス様も急遽一緒に来ることになってしまった。
「お坊っちゃま、いいですか?」
「……別に。花見は人が多い方がいいんだろ…」
やっぱり変だ。
少し前までなら、絶対に「ヤダ」って言っていたのに…。
お花見中もいつものような元気さはなかった。タスク様達にはいつも通りだったけど、私には少し違う。話しかけたら話してくれるけど、お坊っちゃまからはまったく私に話しかけてこないのだ。
何か怒ってる?でも、無視はしないんだけど、何かいつもと様子が変だ。
花見を終えて、屋敷に戻ってきた。
タスク様達は、リコリス様の家に行くそうで、この場にいるのは、私とお坊っちゃまだけだ。
「お坊っちゃま、あの…」
「……オレ、部屋に戻る」
「え…」
「お前、今日は休みだったんだろ?じゃあ、明日は休んでいいから」
「えっ、でも…」
「オレからサルファーに言っておくから。じゃあな」
そう言って、お坊っちゃまは行ってしまった。
後を追いかけようとしたが、誰かに名前を呼ばれてしまい、行けなかった。
「アリス!」
「トキくん…とカルロ様」
「ハルクと出かけてたの?」
「はい。お花見に…」
「その割には暗いけど、弟くんと何かあった?」
「ケンカしたわけじゃないんだけど。…………あ!トキくん、話があるの!ちょっと来て。カルロ様、ちょっと借りますね!」
私はトキくんの腕を取り、中庭に連れてきた。
「どうした?」
「昨日、リゼルと会ったんだ」
「そっか。だから、アイツ…」
「ん?」
「いや、こっちの話。んで?」
「私、お坊っちゃまとスーパーに来てて、帰りにリゼルと会ったの。久々だからつい立ち話してたら、お坊っちゃまのことを忘れて…」
「ああ。もしかして、うちのリゼルと弟くんが鉢合わせした?」
「……うん」
睨み合ってる時は、二人を引き離さないとって思っていたけど。今考えると、それからだ。
お坊っちゃまの様子が少しおかしいのは…。
「リゼルも弟くんも似たタイプだからな…」
「確かに血気盛んなのは似てたね」
「そこじゃないんだけどなー。ま、あまり気にしなくていいと思うぜ」
「本当に?」
「ああ。しばらくしたら、弟くんも普通になるさ。今は放っておいてあげればいいよ。アリスは何もしなくていい」
トキくんがそう言うなら、放っておいた方がいいか。
「…わかった。取りあえずはそうしてみる。ありがとう」
「また何か会ったら言えよ」
「うん」
そう言って、私は自分の部屋に戻った。
翌日はお坊っちゃまが休みと伝えてくれたので、私は外に出ず、部屋で本を読んで過ごした。
「おはようございます」
お坊っちゃまの部屋にやって来た。お坊っちゃまはというと、いなかった。いたのは、アガットさんだけ。
「おはようございます。アリスさん」
「アガットさん。お坊っちゃまは?」
「まだ朝食から戻って来てないですよ。今日、いつもより遅かったので」
「そうなんですか…」
お坊っちゃま、まだ機嫌良くないのかな。トキくんは放っておいてあげればいいとは言っていたけど。
「アリスさん、大丈夫ですか?具合が悪いなら…」
「いえ、具合は悪くはないです!ちょっと心配事があるだけで」
「そうなんですか?具合悪いならすぐに言ってくださいね」
「はい。ありがとうございます」
すると、アガットさんは執事長に呼ばれているからと部屋を出て行ってしまった。部屋に一人残された私は、特にやることもなくて、お坊っちゃまの学習机に座ることにした。何か子供向けにしては大きいような?というか、特注なのかな。私のとは大分違う。
あまり使わないからか、机は結構キレイだった。勉強するタイプじゃないもんな。お坊っちゃまは…。
私は何となく机に突っ伏した。何だか学校にいるような感じがする。
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