Boy and Maid 5

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スーパーへやって来た。
お坊っちゃまと二人で。アガットさんも荷物多いなら、手伝うと言ってくれたが、お坊っちゃまに荷物持ちさせるので(本人もやると言っていたし)、車で待っていてもらった。アガットさんにはいつも助けられている。本当に足を向けて寝られない。



「お坊っちゃま?」

「……」


スーパーに来たのが初めてだったようで、店内を物珍しそうに見ていた。お坊っちゃまだもんね。スーパーなんて来たことはないか。
というか、知らないままで良かったんじゃないかな。



「お坊っちゃま、行きますよ!」

「あ、ああ…」


服を引っ張り、歩くように促す。

いつもならカートは使わないんだけど、お坊っちゃまに押してもらうことにしよう。カートに籠を入れて、お坊っちゃまに声をかける。



「これから店内を回りますから、お坊っちゃまはこのカートをゆっくり押してください」

「ゆっくり?」

「はい。早かったら、商品が見られませんから。お坊っちゃまも何か欲しかったら、一つくらいなら買ってあげますよ。スーパーに来てもらったので」

「何でもいいのか?」

「私が買える範囲のものでお願いします」

「わかった!」


お弁当に入れる食材を中心に店内を見て回る。平日の昼間だが、子供は春休みなせいか、やけに姿が多い。あまり小さいと家に置いておけないからね。
しかし、私の横にいるお坊っちゃまは小さくないが、すぐについて来ちゃう。
今は見る商品全部が珍しいのか、目をキラキラと輝かせていた。楽しそうで何より。


さて、食材は大体、籠に入れた。買い忘れはない。会計してもいいのだが、まだお坊っちゃまが何も入れていないのである。何度か気になるものはあるようだが、籠に入れるより元の場所に戻してしまう。



「お菓子コーナーを見てみますか?」

「お菓子コーナー?」

「はい。じゃあ、ついてきてくださいね」


カートを引きながら、お坊っちゃまをお菓子があるところに連れて行く。すると、ちょっと気になるものがあるのか、カートから離れて、お菓子が並んであるのを見て回りながら、手に取って見ていた。



「へぇ、色々とあるんだな…」

「そうですね。私も昔よくこういうのは買ってもらいました。今でもたまに買ったりしますけど」


私はとあるメーカーのチョコ菓子を手に取って、見せた。お坊っちゃまはジーっと見ていた。



「あ!これ。昔、駄菓子屋さんでよく買ってたりしましたよ!」


また違う商品を手に取って見せた。スーパーだから価格は少し高いが。今は駄菓子屋が残っているのが少ないのもあるんだろうけど。コンビニでも買えるくらいだし。



「てか、駄菓子屋さんって何??」

「ああ、そうか。お坊っちゃまは知らないんでしたね。子供がおこづかいもらって、お菓子を買いに行くところです。ま、お坊っちゃまには…」

「今度、そこに連れてけよ!」

「え、何でですか?」

「お前が食べたやつとか、もっと知りてェから」

「私の実家近くの駄菓子屋さんじゃなくても、駄菓子屋さんはありますよ!」

「そこがいい!」


何で?駄菓子屋なんて、調べれば、屋敷の近くにもあるでしょ?どうして、うちの実家近くの駄菓子屋に行きたいのよ!

そして、お坊っちゃまは私が最初に手に取ったお菓子を籠に入れた。だから、何で??他にもあるのに…。

その後、レジに向かい、会計をした。用意していたレジ袋に食材を詰め終えた。



「さ、帰りましょうか?」

「ん」


お坊っちゃまが手を差し出して来る。ああ、荷物か。荷物を持ってくれる約束だったし。



「じゃあ、こっちの…」

「重いの寄越せよ。お前は軽いの持て」

「大丈夫ですよ!」


しかし、重めの荷物はお坊っちゃまに取られてしまった。



「ほら、帰るぞ」

「お坊っちゃま!待っ…」


お坊っちゃまが荷物を持って、お店を出る。私も荷物を持って、後を追いかけようとした。だが、前を見ていなかったら、誰かとぶつかってしまった。


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