Boy and Maid1




数日後。



「……よし、出来た!」


今日は私がお菓子を作る日。作ったのは、ドーナツである。ふっ、今日もお菓子作りは完璧だわ!

皆が戻るまでにお菓子を作り終えることは出来た。あとは…飲み物を用意してっと。そう考えていたら、ドアが開く。同じメイド達なら、開けたらすぐに入って来る。だが、ドアは半分開いたが誰も入って来ない。



「何しに来たのよ…」


そこにいたのは、数日前に現れた男の子。確か、ハルク様だったかしら?カルロ様、リク様達の弟。
何故だかハルク様って呼びたくないのよね…。



「それ、くれよ!」

「だーめ。君にはちゃんとしたものが用意されてるでしょ?それを食べなさい」

「オレ、こっちがいい!」

「これは私達のおやつなの。君のはここにない。わかったら、さっさと帰る!」


男の子の背中を押して、部屋から追い出す。



「ケチ!怒りんぼ!」

「はいはい。文句言ってもあげません。じゃあね!」


それから仲間達が戻って来て、一緒にドーナツを食べながら、その子が来たことを話した。



「アリス。わざわざ本館のある邸から来てるんだから、一つくらい食べさせてあげなって。かわいそうだよ」

「だめ!あげたら、毎日来ちゃうでしょ?それに向こうでちゃんとしたのが用意されてるんだから!」

「真面目だね。でもさ、ハルク様がここに来て、お菓子を欲しがるのって、アリスがお菓子を作る日だけだよ」

「え?」


そんなわけ…。確かに昨日は来なかったな。

でも、ここじゃなくても、あの子のことは毎日、見かけるんだよね。庭で洗濯してる時とか、料理の仕込みを手伝ってる時とか。視線を感じて、振り向くといつもあの子がいる。目が合うと、すぐいなくなっちゃうんだけど。



「そういえば、ハルク様にもお世話係をつけるって話が出てるけど。もしかして、アリスは候補に上がってるかもね」

「そんなわけないでしょ!誰があんなお子ちゃまの面倒を…」

「あれはアリスのこと、気に入ってるでしょ?じゃなきゃ、ここへは来ないよ」

「お菓子を口実に来てるのかもよ?可愛いー!」


一度もあの子にお菓子なんてあげたことないのに?わけわからないわ。



「ハルク様のお世話係になりたい子は結構いるけど、ハルク様自体が嫌がってるみたいよ…」

「ハルク様の傍にいれば、カルロ様にも近づけるからでしょ?」

「あー、それが狙いか。だからか…」


メイド仲間の話を右から左に流して、私はドーナツを頬張る。
うん、ドーナツにはカフェオレが合うわね。



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数日後。



「……よし、出来た!」


今日は私がお菓子を作る日。作ったのは、ドーナツである。ふっ、今日もお菓子作りは完璧だわ!

皆が戻るまでにお菓子を作り終えることは出来た。あとは…飲み物を用意してっと。そう考えていたら、ドアが開く。同じメイド達なら、開けたらすぐに入って来る。だが、ドアは半分開いたが誰も入って来ない。



「何しに来たのよ…」


そこにいたのは、数日前に現れた男の子。確か、ハルク様だったかしら?カルロ様、リク様達の弟。
何故だかハルク様って呼びたくないのよね…。



「それ、くれよ!」

「だーめ。君にはちゃんとしたものが用意されてるでしょ?それを食べなさい」

「オレ、こっちがいい!」

「これは私達のおやつなの。君のはここにない。わかったら、さっさと帰る!」


男の子の背中を押して、部屋から追い出す。



「ケチ!怒りんぼ!」

「はいはい。文句言ってもあげません。じゃあね!」


それから仲間達が戻って来て、一緒にドーナツを食べながら、その子が来たことを話した。



「アリス。わざわざ本館のある邸から来てるんだから、一つくらい食べさせてあげなって。かわいそうだよ」

「だめ!あげたら、毎日来ちゃうでしょ?それに向こうでちゃんとしたのが用意されてるんだから!」

「真面目だね。でもさ、ハルク様がここに来て、お菓子を欲しがるのって、アリスがお菓子を作る日だけだよ」

「え?」


そんなわけ…。確かに昨日は来なかったな。

でも、ここじゃなくても、あの子のことは毎日、見かけるんだよね。庭で洗濯してる時とか、料理の仕込みを手伝ってる時とか。視線を感じて、振り向くといつもあの子がいる。目が合うと、すぐいなくなっちゃうんだけど。



「そういえば、ハルク様にもお世話係をつけるって話が出てるけど。もしかして、アリスは候補に上がってるかもね」

「そんなわけないでしょ!誰があんなお子ちゃまの面倒を…」

「あれはアリスのこと、気に入ってるでしょ?じゃなきゃ、ここへは来ないよ」

「お菓子を口実に来てるのかもよ?可愛いー!」


一度もあの子にお菓子なんてあげたことないのに?わけわからないわ。



「ハルク様のお世話係になりたい子は結構いるけど、ハルク様自体が嫌がってるみたいよ…」

「ハルク様の傍にいれば、カルロ様にも近づけるからでしょ?」

「あー、それが狙いか。だからか…」


メイド仲間の話を右から左に流して、私はドーナツを頬張る。
うん、ドーナツにはカフェオレが合うわね。



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