Boy and Maid-Mini-(ⅩⅡ)
呼ばれた場所に向かうと、思っていたより人数がいた。相手決まってねェやつ、こんなにいたのか。
何かやたら女子がオレを見て、ヒソヒソ話してんだけど、一体、何なんだ?顔に何かついてんのか?アリスのヤツ、顔にもアイスをつけたか?
「やっぱりハルクもパートナー、決めてなかったんだ」
「他人のこと言えるかよ。お前もだろ?」
「ははは。確かにな」
クラスメイトのシンジュ。
明るく活発でクラスの中心にいるようなヤツだ。本来ならあまり関わることがないタイプのヤツなんだけど、以前、コイツの前でアリスに誕生日プレゼントでもらったものを落として、それを拾われたことがきっかけで話すようになった。
と言うのも、シンジュも姉貴からまったく同じものをプレゼントで渡されて、持っているらしい。
てか、コイツも年上がタイプなんだと。確か、義理の姉とか言ってたな。歳もアリスと同い年って聞いたような?だから、女子から告白されても、付き合わないわけか。
「なあ、オレの顔に何かついてる?」
「うん?目や鼻、口はついてるぜ」
「それがなかったら、おかしいだろ。違ェよ。さっきから女子がオレ見ながら喋ってるから、顔に何かついてんのかと思って」
「あー、それは違う。おまえと踊りたいんだろ」
「……は?」
オレと踊る?何で。てか、お前じゃなくて??女子人気一位だろ。
「ハルク。おまえはさ、踊りたいやつとかはいないの?」
「いるけど、この中にはいねェ」
「正直だな!食事中、おまえの隣に座っていた人だろ?」
「見てたのかよ!」
「近くだったからなー。てか、楽しそうだったのは、おまえとコウのところだけだったぜ?あとは一部除いて、ほとんどが親子なのに、他人同士みたく黙々と食べてた。それ見て、家族仲が冷えきってる感じがしたな。家族関係が良好な家は、かなり少なかったぜ」
うちも良くねェ部類に入るだろうな。オレも親父と並んで、話しながら飯なんか食えねェし。
うちの学園にいるほとんどの家は、政略結婚が多いんだろう。恋愛結婚の方が少ないんじゃね?母さんも一応、恋愛結婚だったから、親父のことは愛してたんだよな…。そこだけ理解が出来ねェけど。他にもいただろ。何で親父と一緒になったんだ?
「ハルク、シンジュ!」
「コウ」
そこへ同じクラスメイトのコウが来た。
おとなしくて、控えめそうに見えるが、コイツもキレたら結構変わる。てか、両親が実は元ヤンだったらしい。一度、遊びに行ったことあるが、コウのことをすげー大事にしているのが伝わってきたから。
「コウも隣にいたのは、親じゃなくてミルさんだったな」
「うん。二人共は今日来られなくて、ミルが代わりに来てくれたんだ。両親は入学式には来てくれるって」
でも、ちゃんと入学式は来てくれるんだから、いい親だよな。うちの親父なんて一度も来たことねェし。オレにはアガットが来てくれたから、まだ良かったけど。
「コウも本当はミルさんと踊りたかったんだろ?」
「…うん。でも、仕方ないよ。一緒に踊れるのは、学生限定だから」
確かにオレ達にとっては、このダンスは好きな相手とは踊れねェもんな。
三人で話しているうちにダンスの相手は、くじで決めることになったらしい。男女別れて、箱に入った紙を引いてく。同じ番号のヤツがダンスの相手ということだ。
オレが引いた番号は9。くじを引いた直後から何人かの女子達がオレの番号を聞いてくるが、番号を言うと去っていく。
シンジュとコウは相手が決まったのか、横にいる女子と話していた。アイツら女子とは普通に話せるよな。オレ、同い年の女と何話せばいいか全然わかんねェし。同い年の女で話すのは、リコリスくらいだな。あとオレが話す女は、アリスとメイド長のサルファーくらいだな。どっちも向こうから話しかけてくるから、こっちからふることはねェし。楽といえば楽。
「ドルチェくん!」
「何?」
声をかけてきたのは、同じクラスのヒワ・ターコイズだ。同じクラスだったが、接点がないためか、あまり話したことはない。
「ドルチェくんは何番?」
「オレ?9…」
「9?私も9なんだ!よろしくね」
「…おう」
ターコイズか。他の女子よりはマシだ。特にマーズとかマジでうっせェし。アイツとだけは組みたくねェな。
…ターコイズって、よく見ると少し雰囲気がアリスに似てるような?いや、そうでもねェか。アリスはこんなおとなしくねェもんな。リク兄相手には、挙動不審だし。
そう考えるとオレ、何でアリスが好きなんだろう??お菓子につられたのか?
「ドルチェくん。時間あまりないけど、少し練習しない?」
「ああ、いいぜ」
ターコイズに言われて、時間までの間、ダンスの練習した。一応、体育の授業でもやっていたから、そんなには苦労はしなかった。ターコイズがやりやすかったのもあるんだろうけど。
他にも練習してるヤツはいたけど、息が合わないヤツは本当に苦労してたし。その点、オレは相手に恵まれたわけか。
そして、時間になり、6年全員がダンスホールに集まり、保護者達が見守る中でダンスをする。ダンスが始まる前にアリスはどこにいるのか姿を探していると───
何故かカメラを持って、オレに手を振っていた。しかも、その横にいるのコウの使用人のミルじゃないか?いつの間に仲良くなったんだ!?あの二人。
と、曲が流れ出したから、まずはダンスに集中することにする。
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何かやたら女子がオレを見て、ヒソヒソ話してんだけど、一体、何なんだ?顔に何かついてんのか?アリスのヤツ、顔にもアイスをつけたか?
「やっぱりハルクもパートナー、決めてなかったんだ」
「他人のこと言えるかよ。お前もだろ?」
「ははは。確かにな」
クラスメイトのシンジュ。
明るく活発でクラスの中心にいるようなヤツだ。本来ならあまり関わることがないタイプのヤツなんだけど、以前、コイツの前でアリスに誕生日プレゼントでもらったものを落として、それを拾われたことがきっかけで話すようになった。
と言うのも、シンジュも姉貴からまったく同じものをプレゼントで渡されて、持っているらしい。
てか、コイツも年上がタイプなんだと。確か、義理の姉とか言ってたな。歳もアリスと同い年って聞いたような?だから、女子から告白されても、付き合わないわけか。
「なあ、オレの顔に何かついてる?」
「うん?目や鼻、口はついてるぜ」
「それがなかったら、おかしいだろ。違ェよ。さっきから女子がオレ見ながら喋ってるから、顔に何かついてんのかと思って」
「あー、それは違う。おまえと踊りたいんだろ」
「……は?」
オレと踊る?何で。てか、お前じゃなくて??女子人気一位だろ。
「ハルク。おまえはさ、踊りたいやつとかはいないの?」
「いるけど、この中にはいねェ」
「正直だな!食事中、おまえの隣に座っていた人だろ?」
「見てたのかよ!」
「近くだったからなー。てか、楽しそうだったのは、おまえとコウのところだけだったぜ?あとは一部除いて、ほとんどが親子なのに、他人同士みたく黙々と食べてた。それ見て、家族仲が冷えきってる感じがしたな。家族関係が良好な家は、かなり少なかったぜ」
うちも良くねェ部類に入るだろうな。オレも親父と並んで、話しながら飯なんか食えねェし。
うちの学園にいるほとんどの家は、政略結婚が多いんだろう。恋愛結婚の方が少ないんじゃね?母さんも一応、恋愛結婚だったから、親父のことは愛してたんだよな…。そこだけ理解が出来ねェけど。他にもいただろ。何で親父と一緒になったんだ?
「ハルク、シンジュ!」
「コウ」
そこへ同じクラスメイトのコウが来た。
おとなしくて、控えめそうに見えるが、コイツもキレたら結構変わる。てか、両親が実は元ヤンだったらしい。一度、遊びに行ったことあるが、コウのことをすげー大事にしているのが伝わってきたから。
「コウも隣にいたのは、親じゃなくてミルさんだったな」
「うん。二人共は今日来られなくて、ミルが代わりに来てくれたんだ。両親は入学式には来てくれるって」
でも、ちゃんと入学式は来てくれるんだから、いい親だよな。うちの親父なんて一度も来たことねェし。オレにはアガットが来てくれたから、まだ良かったけど。
「コウも本当はミルさんと踊りたかったんだろ?」
「…うん。でも、仕方ないよ。一緒に踊れるのは、学生限定だから」
確かにオレ達にとっては、このダンスは好きな相手とは踊れねェもんな。
三人で話しているうちにダンスの相手は、くじで決めることになったらしい。男女別れて、箱に入った紙を引いてく。同じ番号のヤツがダンスの相手ということだ。
オレが引いた番号は9。くじを引いた直後から何人かの女子達がオレの番号を聞いてくるが、番号を言うと去っていく。
シンジュとコウは相手が決まったのか、横にいる女子と話していた。アイツら女子とは普通に話せるよな。オレ、同い年の女と何話せばいいか全然わかんねェし。同い年の女で話すのは、リコリスくらいだな。あとオレが話す女は、アリスとメイド長のサルファーくらいだな。どっちも向こうから話しかけてくるから、こっちからふることはねェし。楽といえば楽。
「ドルチェくん!」
「何?」
声をかけてきたのは、同じクラスのヒワ・ターコイズだ。同じクラスだったが、接点がないためか、あまり話したことはない。
「ドルチェくんは何番?」
「オレ?9…」
「9?私も9なんだ!よろしくね」
「…おう」
ターコイズか。他の女子よりはマシだ。特にマーズとかマジでうっせェし。アイツとだけは組みたくねェな。
…ターコイズって、よく見ると少し雰囲気がアリスに似てるような?いや、そうでもねェか。アリスはこんなおとなしくねェもんな。リク兄相手には、挙動不審だし。
そう考えるとオレ、何でアリスが好きなんだろう??お菓子につられたのか?
「ドルチェくん。時間あまりないけど、少し練習しない?」
「ああ、いいぜ」
ターコイズに言われて、時間までの間、ダンスの練習した。一応、体育の授業でもやっていたから、そんなには苦労はしなかった。ターコイズがやりやすかったのもあるんだろうけど。
他にも練習してるヤツはいたけど、息が合わないヤツは本当に苦労してたし。その点、オレは相手に恵まれたわけか。
そして、時間になり、6年全員がダンスホールに集まり、保護者達が見守る中でダンスをする。ダンスが始まる前にアリスはどこにいるのか姿を探していると───
何故かカメラを持って、オレに手を振っていた。しかも、その横にいるのコウの使用人のミルじゃないか?いつの間に仲良くなったんだ!?あの二人。
と、曲が流れ出したから、まずはダンスに集中することにする。
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