Boy and Maid-Mini-(Ⅹ)
月日は過ぎ、3月に入った。
相変わらずアリスの記憶は戻ることはない。オレは今もアリスのあとを追いかけてはいるけど、アリスが一人でいる時しかしなくなった。
「もうじき桜が咲くね!」
そんな声が聞こえた。
アリスが数人のメイド達と話していた。
「まだ先の話じゃない?」
「いや、あっという間に来るでしょ!」
「じゃあ、桜が咲いたら、皆でお花見しよう!」
「いいねー!賛成」
「皆の休みが合わせられるようにメイド長に頼んでみようよ」
他のヤツらと楽しそうに花見の計画を立てていた。
“来年もお花見したい!”
“わかりました。お坊っちゃまの好きなものを入れてあげますよ”
嘘つき。オレと約束したのに!
来年も一緒に行こうって、指切りもしたのに!!
「私、お弁当を作っ…」
バン!!
その言葉を聞きたくなくて、思いっきり音を立てて窓を閉めた。
あんなのアリスじゃねェ!知らないヤツだ。
【続】
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