Boy and Maid-Mini-(Ⅸ)

❰おまけ❱ハルク視点。

車内にて。



「アリスに何もらったの?」

「お菓子だそうです。昨日、助けてくれたお礼にって」

「ふーん…」


アガットにだけかよ。
すると、信号で車が停止した。



「はい、どうぞ」


アガットがハンドルから手を離して、助手席に置いてあった小袋を渡してくる。これ、さっきアリスが持っていたやつか?



「何?」

「アリスさんから妖精さんにだそうです。だから、それはお坊っちゃまの分ですよ」


アガットからそれを受け取る。
中を開けると、マドレーヌが6個入っていた。そのうちの一つを手に取り、一口食べる。

食べた瞬間、涙がこぼれた。
今のアリスは記憶がない。ないけれど、作ったお菓子の味は以前と変わらない。変わってないからこそ、余計に懐かしく感じた。





“アリス!今日のお菓子は?”

“今日はパンケーキです。あと、フルーツも沢山手に入ったので、色んな種類のジャムも作りました!さ、生クリームもありますし、お好きなジャムを選んでつけてください”

“うわー!すげー!アリス!!”

“ふふっ。さあ、食べましょうか!”

“うん!”





アリスとの日々を思い出して、更に涙が止まらない。拭っても拭っても涙は止まらない。



「アガット。オレ、このままでいたくねェ。またアリスと一緒に過ごしたい。お菓子も一緒に食べたい…」

「お坊っちゃま…」

「でも、どうしたらいいか、わかんねェ…」


どうしたら、アリスの記憶は戻るのだろう?





【END】
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