Boy and Maid-Mini-(Ⅸ)
この屋敷に戻ってから10日間が経った。
退院後、しばらくは部屋で休んだり、屋敷内を歩いたりして過ごしていた。たまに屋敷内の地図をもらって、場所を覚えたりと確認もしていた。
屋敷内を回っている時は、中庭でリクさんに会ったり、書斎でカルロさんやドラくん、娯楽室でタスクくんとも会ったりした。もう一人兄弟がいるみたいだけど、私がここに帰って来てからは見ていない。確か、名前がライって聞いたんだけど。でも、リクさん達がその人を見たら、挨拶だけして逃げろって言ってたのよね。そんなにやばい人なのかしら。
あと──
ここに戻った日に会ったあの男の子の姿も見ていない。リクさん達に聞いても、濁されてしまい、詳しくは話してくれないから、少し気になっているんだけど。
あの子ともう少し話をしてみたいけど、また泣きそうな顔をさせちゃったらと思うと、なかなか…。
そして、今日からメイドの仕事を再開することになった。教えてくれるのは、私と同い年の二人。ベゴニアとスマルト。彼女達は何もわからない私に仕事を丁寧に教えてくれた。
たまに失敗しても「大丈夫」「ドンマイ」と励ましてくれた。優しい。でも、いつまでも甘えていちゃだめよね。しっかりしなくちゃ。
「アリスじゃん!もう退院したんだー。へぇ、もう仕事してるんだ」
荷物を運んでいたら、見知らぬ人に声をかけられた。向こうは私を知っているようだけど、私はわからない。誰かに聞こうにも、今は一人だし。
「退院は一週間前に。仕事は数日前からやっています。……えっと」
「ライだよ」
ライ?
あ、リクさん達が言っていた挨拶だけしたら、逃げろって言っていた人。そんな危ない人には見えないけど。
「そうだ。アリスに頼みたい仕事があんだよね!ちょっと来て」
「あの私、今は…」
「なあ、アリスが持ってる荷物さ、代わりに運んでおいて」
そう言うとライさんは、相手の返事も聞かずに私の仕事を他の人に押しつけた。
待って。これは私の仕事!
「あの、仕事は自分でやりますから!」
「ダメ。アリスは別の仕事があるから。じゃあ、よろしくー!」
そう言って、私の腕を掴み、走り出す。連れて行かれた先は、彼の部屋。
「あの、私は何をしたら…?」
しかし、部屋はキチンと片づいているから、掃除するほどでもない。じゃあ、何したらいいのかな?
その場で立ち尽くしていると、ライさんは私に笑いかける。
「服、全部脱いで」
「………は?」
服を脱げ?何で!?
それは仕事じゃないよね。
「どうして、脱がないといけないんですか?」
「服、邪魔だからだよ。俺さ、服着たままは好きじゃねーし。それとも俺に脱がされたい?」
私はぶんぶんと音がなりそうなくらいに首を横に振る。そもそも何で服を脱がないといけないのよ!
すると、ライさんは私にゆっくりと近づいてくるから、私は思わず後ろに後ずさる。だが、いつの間にか壁へと追いやられてしまい、逃げられなくなっていた。
「アリス、記憶ねーんだろ?だから、狙ってたんだよなー。しかも、いつも邪魔してくるハルクも今は傍にはいねーし。正に絶好の機会。最高じゃね?」
「…っ!」
顔が近づいてくる。逃げようにも体は既に押さえつけられてしまい、動けない。
嫌だ。何でこの人に奪われないといけないのよ!嫌だけど、動けないから逃げられない。どうしよう。
誰か、誰か…!助けて。
私は思わず目を閉じた。
.
退院後、しばらくは部屋で休んだり、屋敷内を歩いたりして過ごしていた。たまに屋敷内の地図をもらって、場所を覚えたりと確認もしていた。
屋敷内を回っている時は、中庭でリクさんに会ったり、書斎でカルロさんやドラくん、娯楽室でタスクくんとも会ったりした。もう一人兄弟がいるみたいだけど、私がここに帰って来てからは見ていない。確か、名前がライって聞いたんだけど。でも、リクさん達がその人を見たら、挨拶だけして逃げろって言ってたのよね。そんなにやばい人なのかしら。
あと──
ここに戻った日に会ったあの男の子の姿も見ていない。リクさん達に聞いても、濁されてしまい、詳しくは話してくれないから、少し気になっているんだけど。
あの子ともう少し話をしてみたいけど、また泣きそうな顔をさせちゃったらと思うと、なかなか…。
そして、今日からメイドの仕事を再開することになった。教えてくれるのは、私と同い年の二人。ベゴニアとスマルト。彼女達は何もわからない私に仕事を丁寧に教えてくれた。
たまに失敗しても「大丈夫」「ドンマイ」と励ましてくれた。優しい。でも、いつまでも甘えていちゃだめよね。しっかりしなくちゃ。
「アリスじゃん!もう退院したんだー。へぇ、もう仕事してるんだ」
荷物を運んでいたら、見知らぬ人に声をかけられた。向こうは私を知っているようだけど、私はわからない。誰かに聞こうにも、今は一人だし。
「退院は一週間前に。仕事は数日前からやっています。……えっと」
「ライだよ」
ライ?
あ、リクさん達が言っていた挨拶だけしたら、逃げろって言っていた人。そんな危ない人には見えないけど。
「そうだ。アリスに頼みたい仕事があんだよね!ちょっと来て」
「あの私、今は…」
「なあ、アリスが持ってる荷物さ、代わりに運んでおいて」
そう言うとライさんは、相手の返事も聞かずに私の仕事を他の人に押しつけた。
待って。これは私の仕事!
「あの、仕事は自分でやりますから!」
「ダメ。アリスは別の仕事があるから。じゃあ、よろしくー!」
そう言って、私の腕を掴み、走り出す。連れて行かれた先は、彼の部屋。
「あの、私は何をしたら…?」
しかし、部屋はキチンと片づいているから、掃除するほどでもない。じゃあ、何したらいいのかな?
その場で立ち尽くしていると、ライさんは私に笑いかける。
「服、全部脱いで」
「………は?」
服を脱げ?何で!?
それは仕事じゃないよね。
「どうして、脱がないといけないんですか?」
「服、邪魔だからだよ。俺さ、服着たままは好きじゃねーし。それとも俺に脱がされたい?」
私はぶんぶんと音がなりそうなくらいに首を横に振る。そもそも何で服を脱がないといけないのよ!
すると、ライさんは私にゆっくりと近づいてくるから、私は思わず後ろに後ずさる。だが、いつの間にか壁へと追いやられてしまい、逃げられなくなっていた。
「アリス、記憶ねーんだろ?だから、狙ってたんだよなー。しかも、いつも邪魔してくるハルクも今は傍にはいねーし。正に絶好の機会。最高じゃね?」
「…っ!」
顔が近づいてくる。逃げようにも体は既に押さえつけられてしまい、動けない。
嫌だ。何でこの人に奪われないといけないのよ!嫌だけど、動けないから逃げられない。どうしよう。
誰か、誰か…!助けて。
私は思わず目を閉じた。
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