Boy and Maid-Mini-(Ⅴ)
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飯を食ってから、部屋に戻ってきた。他のヤツらは皆、食欲がないと言って、オレとライ以外は食べなかった。そういえば、リク兄がいなかったな。まだ帰って来てないのかもな。
「アガット。今日さ、怪我したヤツいたんだろ?救急車に運ばれたって聞いたけど」
「え、お坊っちゃま、聞いてないんですか?」
「何が?」
「いえ、聞いてないならいいです」
アガットが話を終わらせようとする。オレは何か気になって、問いつめる。
「何を隠してんの!?アガット。知ってるなら教えろよ!」
「……。お坊っちゃまには関係ない話ですから」
アガットが笑ってそう答えた。関係ない?どういう意味だよ!
「言えって!」
「……」
「アガット!」
「救急車に運ばれたと聞いたんですよね?」
「うん。カルロが使用人が怪我して、救急車に運ばれたって」
アガットが真っ直ぐにオレを見た。そして、信じられないことを言った。
「救急車に運ばれたのは、アリスさんです。階段から落ちたそうで、その時に頭を強く打ったらしくて…」
「…………………えっ」
それを聞いた瞬間、真っ白になった。
アリスが階段から落ちた?そんなの誰も教えてくれなかった。いや、談話室に入った時、皆が深刻そうな話をしてて、タスク兄が何か言いかけてたけど、カルロが遮って、使用人が怪我して、救急車に運ばれたって。
あれはアリスのこと?
「アリスはどこの病院に運ばれたの!?」
「わかりません。確か、アリスさんを最初に見つけたリク様がついて行っ……お坊っちゃま!」
オレは急いで部屋を飛び出した。向かった先は、談話室。
何で。何で教えてくれなかったんだ!
使用人って言って、ごまかしたんだよ!
だから、リク兄が帰って来ないんだ。アリスの付き添いに行ってるから。
アリス!
【続く】
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