Boy and Maid-Mini-(Ⅳ)

オレとアリスに何かあったことは、他のヤツらにもすぐにわかったようで、やたら何があったのかを聞かれた。説明も面倒だから何も言わなかった。今日もタスク兄にそのことを言われた。



「まーたケンカしてんの?どうせお前がまたアリスを困らせたんでしょ。早く仲直りしたら?」

「何でオレが?」

「いつもお前、後から慌てるじゃん。前回の時だってさ…」


何でオレがいつもアイツを困らせてるような感じなんだよ。今回はオレは悪くねェし。



「何でオレがメイドに謝らなきゃいけねェの?」

「は?」

「それに世話係は辞めさせたから、あのメイドとは二度と関わることもねェから。アイツの話、二度としないで」


それだけ言って、オレは立ち去る。もうアリスの話はして欲しくない。



「……………アイツ、どうしちゃったわけ?」










アリスがこっちの屋敷に来ることはなかった。そうか。こっちは鍵を持ってるヤツしか入れないんだっけ。

しかし、たまに外で顔を合わせることもあった。でも、アリスだけを無視した。挨拶されても返さなかった。他のヤツには返しても、頑なにアリスにだけしなかった。



「お坊っちゃま!あの…」

「……」


その後も廊下で会ったり、中庭、テラス、玄関ホールで会うこともあって、他に誰もいなかったり、アガットとオレだけだったりすると何度も声をかけてきた。やたら会うことが増えたのは、アリスがオレと話をしようと待っているからだろう。昔のオレなら喜んでいたけど、今のオレにはそれがうざったくて仕方なかった。



「お坊っちゃま!」

「……」

「あの、少しだけでもいいんです!お話を…」

「……」

「お坊っちゃま。さっきからアリスさんが呼んでいます。少しは返事を返してあげ…」

「オレとアガット以外に誰かいんの?いないだろ?」

「……っ!」


オレの言葉にアイツは黙ってしまう。泣きたいなら泣けばいいじゃん。メイドが泣いたってどうもしねェし。



「アガット、行こう」

「お坊っちゃま!」


アガットの腕を引き、オレは歩き出した。さっさと諦めろよ。うぜェ。







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