Boy and Maid-Mini-(Ⅲ)
今日はお坊っちゃまにケーキを作るはずだった。しかし、お坊っちゃまに出掛ける用事が出来てしまったため、中止になってしまった。
せっかく材料を揃えたのにな。お坊っちゃまも楽しみにしてたし。作ってあげようかな?でも、出来立てが食べたいって言っていたから、次の休み辺りにでも作ってあげよう。
しばし暇になった私にスマルトから水族館へ行こうと誘われた。久々だし、せっかく誘ってくれたので一緒に来たのだが…。
何とそこで見てしまった。
お坊っちゃまが女の子と一緒にいるところを。用事って、デートだったんだ!というか、あんなに仲良くしてる女の子がいるのは知らなかった。お坊っちゃま。私にからかわれると思って、言いたくなかったのかな?そんなことしないのに…。むしろ、祝福してあげたのにな。
夜。
執事長に頼まれていた娯楽室の掃除を終わらせて、掃除道具を片していた時、お坊っちゃまがやって来た。
「あれ?お坊っちゃま…。何かありました?」
「何かないと来ちゃいけないのかよ…」
「そういうわけではないですけど、ちょっと待ってください。道具だけ片しますから」
まず道具だけは先に片しておこう。
お坊っちゃまは静かに私が片付けるのを待っていた。本当にどうしたのかな。やけにおとなしいんだけど。
私、何かやったかな?思い当たることが多すぎてわからない。
「お待たせしました」
「これ、やる」
「何ですか?これ」
「この間のハリネズミのお礼…」
そう言って、私に差し出して来たのは、透明な袋に包まれたイニシャルが入ったイルカのキーホルダー。
何で私に??あの子とお揃いでつけるために買ったのではなかったの?
「一緒にいた女の子にあげたら、どうですか?」
「え、何で知って…」
「私も水族館にいたんですよ。おみやげコーナーのところでお坊っちゃま達を見かけたので」
「声かければいいじゃん」
「邪魔しちゃ悪いと思いまして」
だって、仲良さそうに見えたから。デートの邪魔しては悪いし。可愛い女の子だったし。お坊っちゃまにはああいう子がお似合いだなって。
「すっごくお似合いでしたよ!あんな可愛い彼女がいたんですね。言ってくれれば良かっ…」
「もういい!」
お坊っちゃまが怒って、私にイルカのキーホルダーを投げつけてきた。そして、娯楽室から逃げるようにいなくなってしまった。
え、何で怒ってるの!?
「お坊っちゃま、待ってください!」
落ちたキーホルダーを拾い上げて、慌てて後を追いかける。しかし、ドアに鍵をかけて、中に入れない。
しまった。お坊っちゃまの部屋の鍵は、部屋に置いたままだ。
「ここを開けてください!」
「うるせェな!帰れよ!」
「お坊っちゃま!」
「もうお前の顔なんて見たくねェ!今度こそ世話係から外してやる!!だから、帰れよ!」
「……お坊っちゃま…」
「うるさい!早くあっち行け!!」
もう何を言っても届かない。
私が出来ることはここを立ち去ることだけ。
「…わかりました。失礼しました」
返事はない。
私は自分の部屋に戻るしかなかった。
.
せっかく材料を揃えたのにな。お坊っちゃまも楽しみにしてたし。作ってあげようかな?でも、出来立てが食べたいって言っていたから、次の休み辺りにでも作ってあげよう。
しばし暇になった私にスマルトから水族館へ行こうと誘われた。久々だし、せっかく誘ってくれたので一緒に来たのだが…。
何とそこで見てしまった。
お坊っちゃまが女の子と一緒にいるところを。用事って、デートだったんだ!というか、あんなに仲良くしてる女の子がいるのは知らなかった。お坊っちゃま。私にからかわれると思って、言いたくなかったのかな?そんなことしないのに…。むしろ、祝福してあげたのにな。
夜。
執事長に頼まれていた娯楽室の掃除を終わらせて、掃除道具を片していた時、お坊っちゃまがやって来た。
「あれ?お坊っちゃま…。何かありました?」
「何かないと来ちゃいけないのかよ…」
「そういうわけではないですけど、ちょっと待ってください。道具だけ片しますから」
まず道具だけは先に片しておこう。
お坊っちゃまは静かに私が片付けるのを待っていた。本当にどうしたのかな。やけにおとなしいんだけど。
私、何かやったかな?思い当たることが多すぎてわからない。
「お待たせしました」
「これ、やる」
「何ですか?これ」
「この間のハリネズミのお礼…」
そう言って、私に差し出して来たのは、透明な袋に包まれたイニシャルが入ったイルカのキーホルダー。
何で私に??あの子とお揃いでつけるために買ったのではなかったの?
「一緒にいた女の子にあげたら、どうですか?」
「え、何で知って…」
「私も水族館にいたんですよ。おみやげコーナーのところでお坊っちゃま達を見かけたので」
「声かければいいじゃん」
「邪魔しちゃ悪いと思いまして」
だって、仲良さそうに見えたから。デートの邪魔しては悪いし。可愛い女の子だったし。お坊っちゃまにはああいう子がお似合いだなって。
「すっごくお似合いでしたよ!あんな可愛い彼女がいたんですね。言ってくれれば良かっ…」
「もういい!」
お坊っちゃまが怒って、私にイルカのキーホルダーを投げつけてきた。そして、娯楽室から逃げるようにいなくなってしまった。
え、何で怒ってるの!?
「お坊っちゃま、待ってください!」
落ちたキーホルダーを拾い上げて、慌てて後を追いかける。しかし、ドアに鍵をかけて、中に入れない。
しまった。お坊っちゃまの部屋の鍵は、部屋に置いたままだ。
「ここを開けてください!」
「うるせェな!帰れよ!」
「お坊っちゃま!」
「もうお前の顔なんて見たくねェ!今度こそ世話係から外してやる!!だから、帰れよ!」
「……お坊っちゃま…」
「うるさい!早くあっち行け!!」
もう何を言っても届かない。
私が出来ることはここを立ち去ることだけ。
「…わかりました。失礼しました」
返事はない。
私は自分の部屋に戻るしかなかった。
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