Collar(クロノStory)
「クロノ、犬が」
「また捨て犬か」
“捨て犬”とは『人間』の事だ。
それはアタイと彼の出会いにも由来すんだけどな。
もうあれは10年近く前になるのか──
「雨降ってないのに雨宿りか?」
夕闇に呑まれようとしていた森の中で彼に出会った。
何を話し掛けても無反応。
死んでるのかとさえ思ったね。
けど──
「てや!」
「いたいなぁ!」
「お、生きてんじゃん」
「……生きてたら悪いかよ」
当時のゲッカは今じゃ信じられないくらい性格がアタイ好みじゃなかった。
「何言ってんだよ、オマエ。生きてんのが当たり前じゃん」
「飼い主に捨てられてもか?」
「はぁ?アンタさ、人間じゃん。飼い主ってなんだよ」
「餌をくれる二人」
直ぐに両親の事だって分かった。
けど、何で“お父さん”“お母さん”って呼ばないんだ──?
「そんで、その飼い主様とたらはどこいったんだ?」
「サヨナラだって」
「アンタは?」
「“待て”、動いたらいけない」
足は小刻みに震えていた。
よく見ると、手足は細く骨が見えそうで……
「何日目?」
「4日……」
「じゃあ、まだ平気だな」
「え?」
「じゃな」
「待ってよ!」
「何の用?」
「え、あ……ううん、やっぱりなんでも……ないよ」
なんてか、メンドくせーヤツ。
「じゃあ、来る?」
と、彼は首を横に振る。
「腹ペコなんだろ?」
「主人以外からは何ももらったらダメなんだ」
「欲しいくせに」
「違う!欲しいのは話し相手だから」
「ゴチャゴチャうるさい。黙れ、ワンコロ……今日からアタイがアンタの主だ」
そう言って錆びていた鎖を引き千切った。
「だから、うちはオマエだけで手いっぱいなんだよ!」
「けど──」
「出ていくなら代わりにソイツ入れてやる」
「それはダメだな」
「だろ?」
「クロノはオレじゃなきゃ面倒見切れない」
「何だよ、それは。帰ったらお仕置きくらわすぞ」
あの日からゲッカはアタイの犬。
飼い主と犬という鎖だけは、まだゲッカを縛り付けてるんだ。
Collar-首輪-END
「また捨て犬か」
“捨て犬”とは『人間』の事だ。
それはアタイと彼の出会いにも由来すんだけどな。
もうあれは10年近く前になるのか──
「雨降ってないのに雨宿りか?」
夕闇に呑まれようとしていた森の中で彼に出会った。
何を話し掛けても無反応。
死んでるのかとさえ思ったね。
けど──
「てや!」
「いたいなぁ!」
「お、生きてんじゃん」
「……生きてたら悪いかよ」
当時のゲッカは今じゃ信じられないくらい性格がアタイ好みじゃなかった。
「何言ってんだよ、オマエ。生きてんのが当たり前じゃん」
「飼い主に捨てられてもか?」
「はぁ?アンタさ、人間じゃん。飼い主ってなんだよ」
「餌をくれる二人」
直ぐに両親の事だって分かった。
けど、何で“お父さん”“お母さん”って呼ばないんだ──?
「そんで、その飼い主様とたらはどこいったんだ?」
「サヨナラだって」
「アンタは?」
「“待て”、動いたらいけない」
足は小刻みに震えていた。
よく見ると、手足は細く骨が見えそうで……
「何日目?」
「4日……」
「じゃあ、まだ平気だな」
「え?」
「じゃな」
「待ってよ!」
「何の用?」
「え、あ……ううん、やっぱりなんでも……ないよ」
なんてか、メンドくせーヤツ。
「じゃあ、来る?」
と、彼は首を横に振る。
「腹ペコなんだろ?」
「主人以外からは何ももらったらダメなんだ」
「欲しいくせに」
「違う!欲しいのは話し相手だから」
「ゴチャゴチャうるさい。黙れ、ワンコロ……今日からアタイがアンタの主だ」
そう言って錆びていた鎖を引き千切った。
「だから、うちはオマエだけで手いっぱいなんだよ!」
「けど──」
「出ていくなら代わりにソイツ入れてやる」
「それはダメだな」
「だろ?」
「クロノはオレじゃなきゃ面倒見切れない」
「何だよ、それは。帰ったらお仕置きくらわすぞ」
あの日からゲッカはアタイの犬。
飼い主と犬という鎖だけは、まだゲッカを縛り付けてるんだ。
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