Glow of a firefly(アリスStory )

いつも一緒にいる彼が大好きな彼だったらいいのに──
もう、何度願っただろう。

「今日もサボり?」
「だから、お前には関係ねェだろ」
「学校が何の為にあるか分かってるの、ハルク?」
「勉強してても成績下がりまくりのヤツに言われたくねェっての」
「な──っ」
「知ってんだよ。リクがいなきゃ勉強もろくに出来ねェってよ」
「悪かったわね……」

本当の事だから何も言えない。

「今度は泣くのか?勝手にやってろよ、オレも勝手にすっから」
「待って!」
「おい、オレはお前の弟じゃねェんだよ!」

胸が痛くなる。
私、無意識に……ハルクとリクを重ねていた──?
全然違うじゃない!
やめて……やめてよ!

「何だよ、本気にした?」
「一緒にしないで!」
「ああ、一緒にもされたかねェし」

お互いに背を向けて歩き出す。

午後の授業は全く集中出来なかった。
思い出す度にイライラが湧きあがって勉強どころじゃなかった。

家に帰ると、既にハルクはいた。
あんなことがあったのに、よく顔を見せられるなって思う。

「行くぞ、アリス」

徹底的に無視をする。
本当は顔も見たくない、今直ぐ出ていってほしいくらい。

「人の話くらい聞けよ!」

強く腕を掴まれ、視線を合わされる。

「……自分勝手すぎ!」
「はぁ?昼間の事、言ってんのか?」
「離して!」
「離したらお前、話聞かねェだろ」
「離してって──」
「腕じゃイヤ、抱きしめて。そう解釈しろって?」
「ばっ、バカ!」

ハルクの腕が密着する。
突然の事に思わず赤面してしまう。
たまに見せるこのギャップは何なの……?

「やっと、大人しくなったな」
「何する……つもり?」

尋常じゃない心拍音──

「Arice・Dollを街で見掛けた」
「え?」
「誰かを捜してるみたいだった。多分、お前だ」
「それって──」
「危険だって言ってんだよ!」
「は、離してよ!ハルクに守られるくらいなら──」
「他に誰が守ってやれんだよ、バーカ」

ハルクの腕の力が緩む。
今なら逃げられる!
──なのに、体が言うことをきかない。

「体は正直だな。ま、安心しろよ。ちゃんと守ってやっから」

どうして、笑顔で言うの?
ずるい……もう、何も言えないよ。



Glow of a firefly-蛍の光-END
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