World where the eyes of the heart reflect it
ある夜。
眠れなかったオレっちは、隣で眠るリコリスを起こさないように部屋を抜け出した。
廊下を歩いていると、テラスのところにヤツが一人でいるのに気づく。
どうやら空を見ているみたいだった。
アイツでも星を見ることもあんだなーと思っていたら、急に振り返る。
オレっちに気づくと、穏やかに笑う。
少し…いや、かなり様子がおかしい。
ヤツは、あんな風に笑わない。
バカにしたような笑みや見下したような笑みしか見たことねぇーし。
再び目が合うと、瞳の色が違うことにようやく気づいた。
それは、血のような赤ではなく、紫だった───。
〈World where the eyes of the heart reflect it〉
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