Place that I see, far-off love
あっという間にタスクさんの背中が見えなくなった。
「行っちゃった…」
「オレらも帰っ…」
「ハルク!!」
その時、ハルクの背後からラセンが現れた。
「やっと見つけた!」
そう言い、いつものように抱きつく。
「お前な、恥ずかしいから人前で…あれ?アリス」
「何でアリスの名前を出すんだよー!」
「さっきまでいたんだって…アイツ、逃げやがった」
そう。
私はラセンに見つかる前に既に避難していた。
ちなみに近くにあった本屋に来ていて、今もここから様子を窺っている。
ハルクは私の姿を探していたが、ラセンに腕を掴まれ、どこかに行ってしまった。
姿を見送ってから、私は本屋を出て、ハルク達とは反対側に歩き出した。
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─────
しばらく雑貨屋で色々と手に取って、見ていると…。
「アリス!」
名前を呼ばれ、振り向くと、小学校時代の友達の姿。
「アカネ!」
昔から活発だったアカネは、今も変わらない。
それが嬉しかった。
「久しぶりだね!元気だった?」
「元気元気!ところで、アリスは今何してるの?」
「買い物に来たんだけど、もう帰ろうかと思って」
「それじゃあ、これから一緒に遊ばない?皆とカラオケ行くんだけど…」
アカネの後ろ…少し離れた場所に同じくらいの子達が4~5人いた。
男の子もいるみたいだし、グループデートだったのかな?
「でも…」
「というか、来てくれない?さっき、女の子一人帰っちゃってさ」
「そういうことならいいよ」
「ありがとー!さ、行こう」
一緒に歩き出した時、いきなり腕を掴まれた。
振り返ると、そこにいたのは、ハルク。
「…見つけた」
「ハルク…」
すると、ハルクは私の隣にいたアカネに向き直る。
「なあ。コイツ、連れてくのやめてくんない?」
「…えっ」
「オレのツレだから」
ツレ?
違うわよ!
「ちょっとハル…ん!」
言いかけた時、ハルクの手によって、口を塞がれて声を出せない。
ちょっと何するのよ!
「コイツ、オレと一緒だったんだけど迷子になっちまって、探してたんだ。あー、見つかって良かった」
誰が迷子よ!
何度も来てるから迷子になんかならないってばー。
「そうだったの。ごめんなさい。そうとは知らず…」
納得しないでよー!
暴れ出したいけど、押さえつけられ、まったく動けない。
そうこうしているうちに話はついたのか、アカネ達は去って行く。
が、アカネだけ立ち止まり、私を呼ぶ。
ハルクは、ようやく私を解放してくれたから、アカネの元に向かう。
「アリス」
「ん?」
「彼氏いるのに誘ってごめんね?先に言ってくれればいいのに」
彼氏?
誰が誰の!?
「違うわよ!私は…」
「はいはい。いいなー。私もあんなかっこいい彼氏欲しい。それじゃあね!」
そう言って、アカネは今度こそ行ってしまった。
って、勘違いされたままじゃない…。
「…ったく、お前はホイホイとついて行きやがって」
「ほっといてよ!それよりラセンはどうしたの?一緒じゃないけど」
「セツナが来たから交代してきた」
「ふーん…」
「ほら、もう帰るぞ」
ハルクに腕を掴まれ、歩き出す。
「離してよ」
「離したらすぐいなくなんだろ、お前は」
仕方なく、そのままでいた。
ふと周りを見てみる。
近くにいた女の子達がやたらとこっちを見ているのがわかる。
何見てるのかな?
視線の先を見ると、何故か私の前で歩く男に行く。
へ?まさかね…!
もう一度、辿ってみると、やはり同じ。
皆、ハルクを見てる。
……嘘でしょ。
信じらんない!
確かに外見だけならいいかもしれないけど、性格は最悪なのに…。
そうか!
皆、性格知らないからね!きっと。
一人で納得していると、突然、ハルクが振り返る。
「お前さ、さっさと歩けねェのかよ」
「何ですって!あんたが引っ張るからでしょ!!」
「人のせいにするな、バカ。…帰ったら、飯作れよ。デザート付きで」
「何でデザート作らないといけないのよ!」
「お前の買い物に付き合ったんだから、それぐらい当然だろ」
「頼んでない!」
私達は家まで口ゲンカしながら、帰った。
しかも、帰ってからはデザートまでも作らされて…。
あー、せっかくの休日が台無しよ!!
おわり。
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