Dissonance which was born




“リク──……”

僕を呼ぶのは、誰?
……姉さん?


「ん……」
「おはよう、リク」
「……おはよう」
「寝坊なんて珍しいな」
「遅くまで本を読んでたから……って言ったら信じてくれる?」


その言葉に姉さんはキョトンとする。
それから──


「信じるよ」


と言って、穏やかに微笑んだ。


「嘘」
「え?」
「本当は心地いい夢を見てた」
「どんな夢?」
「……姉さんの顔を見たら忘れたよ」
「気になるなぁ」
「うん、僕も」


本当は覚えてる。
今みたいに姉さんが側にいた。

今みたいに手を伸ばせば触れられる距離だった。
でも僕はそれが出来なくて。
夢の中でも僕は臆病で……











〈Dissonance which was born〉











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