Next Wife
とある日。
アリスが教室で次の授業の用意をしようとしていたら…。
「アリス」
「何?」
「…呼んでるよ」
クラスメイトにそう言われ、席を立つ。
向かうと、そこには隣のクラスの委員長。
知ってる相手だが、あまり親しくは話したことはなく、何の用だろうと考えながら声をかけた。
「どうしたの?」
「アリスって、ハルク君と仲良いよね?」
いきなりそう言われ、アリスは戸惑う。
「うーん、良くないよ。普通かな」
「でも、よく一緒にいるよね?そんなアリスにお願いしたいの!」
───────
─────
(もう何で私が!)
珍しくアリスが階段を駆け上がっていた。
しかも、怒りながら。
先程、隣のクラスの委員長から頼まれたこと。
───それは、ハルクのことだった。
転校してから、数えるほどしか授業には出ておらず、たまに出ても寝てるだけなのだ。
最初は委員長が注意しようとしたが、ハルクはなかなか捕まらなく、それどころか姿すら見ない。
だから、ハルクと仲が良いとされるアリスに頼んだのだった。
さて、屋上に到着すると、アリスはハルクがいるであろう場所に向かう。
案の定、彼はいた。
「ハルク!!」
「な、何だよ。びっくりさせんなよな~」
アリスの大きな声にハルクは驚く。
「授業に出なさいよ!」
「は?いきなり何だよ。てか、別にいいだろ。授業出ても意味ねェし」
「あんたは良くても、一応、この学校の生徒である以上は授業に出る義務があるの!」
「知るか、バカ。オレは出ないったら出…」
「いいから、来るの!」
キレたアリスがハルクの腕を掴み、立たせる。
そして、そのまま屋上から出て行く。
「お前、力いっぱい引っ張んなよ」
「ハルクが逃げようとしなければ、少しは緩めるわよ」
「逃げねェから離せって」
「ダメ!そう言って逃げるんだから。絶対に離さないから」
口喧嘩しながら、歩いていた為、注目を浴びていたのだが、二人はまったく気づいていない。
ようやくハルクのクラスに辿り着き、アリスは教室にいる委員長を呼ぶ。
すると、委員長はすぐに気づいて、こちらにやって来た。
「アリス。あ、ハルク君!」
「連れて来たわ。どうぞ、席から動けないようにしていいから」
「アリス!お前…」
「何か文句でも?」
「…ありません」
ハルクは渋々、自分の席に向かった。
アリスも委員長と別れ、自分の教室に戻った。
(疲れたー。まったく世話がかかる!)
だが、アリスはまだ知らなかった。
これが原因で更なる騒動に巻き込まれることを───。
〈Next Wife〉
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