One step of the beginning
「赤点……」
9教科中、8教科が90点台の中で1教科が赤点だった。
リクと暮らすようになって初めて、赤点が恥ずかしく思った。
「姉さん、世界史が苦手なの?」
「リク……」
私は思わず、答案用紙を背中に隠した。
「あはは……バレたら仕方ないね!」
恥ずかしさと後悔を明るく取り繕う。
リクにはバレたく無かった。
「じゃあ、私……勉強するね」
「姉さん」
ドアノブを掴むより先にリクが私の腕を掴んだ。
「良かったら、一緒にやらない……かなって」
〈One step of the beginning〉
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