Dream of Reality




「花火大会って、混んでるものだって思ってた」
「……うん、混んでるよ。表通りはね」


──ずっと夢見てた。
リクと肩を並べて歩くこと。
姉と弟という関係でも構わないって……
でも、今は──

繋いだ手にぎゅっと力がこもる。
すると、リクは優しく握り返してくれた。

不安なの、気付いたのかな……

横目でリクを見ると、リクは微笑んで話を続ける。


「姉さ……アリスはきっとお弁当を作ってくれてるだろうし、何より二人で静かに楽しみたいなって」

「……リクってば……けど、当たり。簡単なものだけど」
「全然、構わないよ。僕も摘まめるものなら持ってきたしね」


耳を澄ませばざわつく声や賑わう街並みの音といったものが心地よく聞こえてくる。

私は思い切って、リクの腕に──


「いいね、こういうの」


そう言って、リクは微笑んだ。

腕を組むと、ぐっと距離が近くなるなんて知らなかった。

恥ずかしすぎて、顔を上げられないよ──



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