Butterfly which please be unexploited
「リンネ。某は願いを叶える事が出来るで」
「ホント?」
「あぁ」
「何でも?」
「せや、何でもや」
リンネは少し考えて、ヨイチに耳打ちをする。
「ほお。アリスを幸せにしてあげたい?」
「やっぱり出来ないよね……」
「残念やなぁ……某に不可能は無いもんで」
「じゃあ──」
「出発進行や!」
ヨイチが指を鳴らす。
「おぉー」
「どんなもんや」
リンネとヨイチは一瞬で不思議の国の住人となった。
「ヨイチ、耳がはえてる!」
「ヨイぴょん呼んだってや」
「やだ。友達じゃないもん」
「……寂しい事、言わんといて。兎さんはな、寂しいと死んでしまうんやでぇ」
と、ハンカチで顔を覆い隠す。
「じゃあ、ヨイチも死んじゃうの?」
「リンネが友達になってくれへんかったら死んでまう~」
「分かった! ヨイチもあたしの友達にしてあげるっ」
その言葉にヨイチが口の端を引き上げたのを少女は知らない。
「でも、何で服をかえるの?」
「某の趣味」
ニンマリ笑うヨイチ、それに対してリンネは引き笑い。
「友達かいやくしたい……」
「冗談やて。真に受けんとってな」
そう言って、ヨイチは懐から懐中時計を取り出す。
「あ!あたしのと似てる!」
「そないに珍しいものちゃいますもん」
「……そう、なんだ」
「けど、リンネのは特別なんやて知っとるで」
その言葉にリンネの表情が明るくなった。
〈Butterfly which please be unexploited〉
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