On a Full moon Night
今夜は十五夜だ。
「団子、食いてー……早く食いてー!」
「お前は食べられないんだぜ? このラヴィ様の日やしな!」
「おまえは月でおれの為に餅つきしとけよ」
「何やと! お前はパンツ履いてからにしろや!」
ライとラヴィは火花を散らす。
──と、そこに。
「今年の中秋の名月は満月なんだって」
月見団子を持ったメアがやって来た。
「晴れて、お月見日和だよ。ラヴィ」
ラヴィは頬を赤らめて、メアに抱きつく。
「おい、変態。お団子が不味くなるでしょ、下着くらい履きなさいよ!」
「ちょ、メア! 団子投げんな! 全部、命中してくっついてるし!」
「……これはライのだから」
「え? おれの分……?」
「そう。失敗だったり……嫌なこと思い出して発散したものだとか」
メアは満面の笑みで言った。
「……あー……どーりで埃とかついてんのもあるわけだ」
「お似合いだな、ライ!」
「おまえも食うか? おれの温もり付きを」
再び火花を散らす、ライとラヴィ。
「ねえ、ラヴィ」
「はいはーい!」
「苺入りで良かったかな?」
「もう、完璧っ!」
「ウサギの癖に猫被りやがって」
ライがボソリと言った。
「…………あ"?」
ラヴィはライを思いきり睨む。
「変態は格好をどうにかしなさいよ!」
「月にいるウサギ共に見せつけてやってんだよ」
ライの言葉と共にバケツをひっくり返したような雨がライにだけ降ってきた。
「うお……水も滴る……」
ラヴィは必死に笑いを堪えている。
「拒絶反応おこされてるじゃない、馬鹿みたい」
「……おれの肉体の良さが分かんねーなんてな」
ライは文句を言いながらも服を着た。
「……これ、ライの分」
そう言って、メアはライに苺? 入りの団子を渡した。
「お、サンキュ…………って、酸っぱぁーっ!!」
そんなライを見て、ラヴィも腹を抱えて転げ回っていた。
〈On a Full moon Night-満月の夜に-〉
END.
(2023.09.21)
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