Peaceful Snack Time
「あれ?」
数分前に出来上がったマドレーヌがテーブルから無くなっていた。
「ちょっと、ハルク! マドレーヌ食べたでしょ?」
部屋の窓から顔を出して叫ぶ。
屋根の上で、寝転がっていたハルクが飛び起きる。
「はぁ? 知らねェけど。てか、くれんの?」
「……ハルクじゃないの?……じゃあ、一体……」
部屋を出ると、リクの部屋のドアも開いた。
「あ、姉さん」
「リク」
ふと、リクの手に目がいく。
「……ごめん、置いてあったから……食べていいのかなって……」
「ううん、いいの! リクの為に作ったんだから」
「ありがとう、凄く美味しかったよ」
笑顔のリクにドキドキと心臓が騒がしくなる。
リクの笑顔は最高の御褒美だよ。
「また作るけど、食べる……かな?」
「え、いいの?」
「うん!」
仕方ない、ハルクにもお詫びを兼ねて作ろう。
文句言いながらも食べるんだろうな。
“さっきはよくも人のせいにしやがって!”とか言いながら……
「はぁ……リクとは大違い……」
「は? リク? アイツがどうしたって?」
「ハルク!? あ、これ……」
出来上がったばかりのマドレーヌをハルクに渡す。
「丁度、小腹空いてたんだ……ん
、美味いな! ありがとな、アリス!」
そう言って、ハルクが笑った。
「何で笑うのよ、馬鹿……」
「ん? 何か言ったか?」
「なーんにも」
調子、狂うじゃない……馬鹿ハルク!
〈Peaceful Snack Time-平和なおやつタイム-〉
END.
(2023.08.30)
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