Three Brothers
「……ライ、居たんだ」
学校が終わって帰ると、鍵か開いていた。
……直帰は珍しい。
ましてや、こんな明るい時間に家に居る事が珍しい。
……まぁ、メアには関係ないけど。
リビングを出て、自室に戻ろうとした時──
力強く、抱き寄せられた。
「え──?」
その時、メアは帰ってきた事を激しく後悔した。
「会いたかった」
「…………嘘、でしょ……」
厭らしい手付きで身体に触れる手……
爽やかな檸檬の匂いが、ほのかに香る……
檸檬の爽やかさとは裏腹。
彼は……彼は──
「やめて!」
彼の手を乱暴に振りほどく。
──が、直ぐに厭らしい手は戻ってくる。
「ナイトはつれないね?……あ、メアのがいいんだっけ?」
……白々しい。
ライも嫌いだけど、彼も……彼も嫌い。
「ほら、お兄ちゃんが遊びに来たよ?」
「兄弟に手を出すような人、兄なんて思わない」
彼の名前は……デストロイ。
通称・ロイ。
メアと……ライの兄……
「メアの事、愛おしいんだから仕方ないだろ?」
あ……トリハダ……
──ライと同レベル……いや、それ以上かも……
この二人と同じ血が流れてるって思うと、虫酸が走る……
「ぼくが居ない間、悪い虫はついてない……かな?」
そう言うと、首元に顔を埋める。
──相手にしてはいけない。
いけない、いけない……いけない──!
「確かめさせてね、メア……」
耐えて、素っ気なく……突き放せば……!
「抵抗しない? これ、同意だよな? そんじゃ、遠慮なく──」
「ダメ……っ! ロイ……あの……メアは……っ」
言いたくない……
自分が“男”だなんて。
けど、言わないと……
言わないと……このまま──
「どした? メア」
「…………メアは──」
「男だろが女だろがどうでもいいんだよ」
「え……?」
ロイ、何言って……
もしかして、メアの秘密……知って──
「メアだから、食いてぇの。覚醒してる時のな。どんな声で鳴く?」
「ちょ……」
ロイは躊躇うことなく、メアの服を切り裂く。
「ほら、どんどんいくよ?」
「……っ……ロイ!」
「おい、手ぇ……どけろ、メア」
ロイは低い声で呟いた。
背筋が……凍り付く。
「……同じ血……流れてるんだよ!」
「あぁ、そうだな。だからか? こんなに求めちまうのは」
「…………」
ロイがシャツに手を掛けようとした、その時──
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