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「ハルク!」
「今日も来たのかよ、ラセン」
「いいじゃん、別に」


何処に行くでもない。
何を話すでもない。
ただ、一緒にいるだけでいい。
……落ち着くから。



「お前さ、分かってんのか?」
「何が?」
「誤解すんじゃねェの?」
「……お互い様でしょ」
「……オレは別に構わねェんだよ」
「あたしもだよ」


ハルクとの関係、誤解されてもいい。
ううん、そのままのが逆にいいのかもしれない。

関係が壊れるのはもちろん、傷つくのが何より怖い……


「ハルク! 此処にいたの?……あ、ラセンと一緒だったんだ」
「何か用か、アリス」
「先生が呼んでたよ。職員室、必ず行って」
「待ってよ、アリス」


あたしはアリスを引き止めた。


「帰り、三人でアイス食べに行かない? 駅前に新しく出来て、いつも並んでんの」
「えっと……二人で行ったらどうかな? ほら、私……邪魔に──」
「いいよね、ハルク?」
「二人で行けよ。オレはアイスなんか──」
「いいよね、ハルク?」
「…………分かったよ、行けばいいんだろ」
「素直じゃないね」



私にも夢、見させてよ……
アリス達に自分を重ねる──

二人は、あたしと違うタイプだけどたまに重なるんだよね。


「ちょっと! レディーファーストでしょ!」
「お前、選ぶと長いんだよ。オレはすぐ決まるし」
「先にメニュー見たいだけでしょ」
「はいはい。喧嘩する程、何とやらね」


二人をからかう。
すると、二人は声を揃えて
“誰が!”
と言った。

いつもの事なのに、つい笑ってしまう。


「注文、決まったね。あたし頼んで──」
「オレが行く」


そう言って、ハルクは席を立った。


「ハルクってば、自分のを一番に注文する気なんだ」


アリスをからかうと、彼女は思わず吹き出した。


「な、何よ……」
「ラセンもそう思う?」
「思う、思う!」


──本当は思ってない。
それはアリスも同じだと思う。
思ってもいない事で盛り上がるのも楽しい、それを知ったのもアリスのおかげ。
……もちろん、悪意ないネタね。

それに──


「……順番待ち」
「ありがとう、ハルク」
「人気なだけあるな。オレ、ギリギリで変えたからな」


その言葉にアリスと顔を見合わせて笑う。


「何、笑ってんだよ」
「一番、楽しみにしてたのハルクじゃん」
「はぁ? 付き合ってやってんだよ。ただ、食べるなら美味いのを選ぶに決まってんだろ」
「27番の方、お待たせしました」
「あ、オレだ」
「……やっぱり」
「毒味係だよ」


やっぱり、この二人はお似合いだって思う。
二人を見てるだけで微笑ましくなる。
だけど──


「ラセンのも出来たってさ」


ハルクからアイスを受け取る。
アイスは期間限定なのか先着なのか分からないけど、兎のチョコが
乗っていた。


「見て、アリス。可愛い──」
「ハルク、三段にしたの?」
「お前と違って体型、気にした事ねェしな……あぁ、美味い」
「酷い……」


言わないけど、あたしも体型気にして段で頼まなかったんだけど。
ハルクってば、余計な事言わなきゃいいのに。


「何だよ……仕方ねェな。一口やろうか?」
「いらない!」
「人が折角……」
「食べる前に言ってよ……馬鹿」
「そしたら間接──」
「ハルクが食べても同じでしょ!」


全く……
二人して顔真っ赤じゃん。
同じ事、言い合ってんの……気付いてないの?

“いいなぁ……”
そんな感情が何度も過っていく。

二人から顔を反らす。
羨ましさと寂しさが交差する……


「29番の方」
「私だ。取りに行ってくるね!」


アリスが席を立った。


「ラセン」
「……何?」
「オレ、出ようか?……食い終わったし」
「いい……いて……今日は、あたしの……誕生日なんだし」
「…………辛くねェの?」
「平気……」


それ以上、ハルクは何も言わない。

アリスが戻って来ると、また喧嘩が始まった。
今度は“食べるの早すぎ”だってさ。



──翌日。


「ハルク」


今日もあたしは、ハルクの所に来た。

何を話すでもない。
ただ、一緒にいるだけでいい。
……落ち着くから。


「それじゃ、また」
「……勝手にしろ」


昨日と同じように手を振って別れる。

あたしとハルクは……
友達以上、恋人未満の関係。
うん、それが一番しっくりくる──!







END.
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