Suspicious teacher




──昨日は数学。
今日は地理……
カルロ先生がモテるのも無理はないのかな。
授業中以外は女子生徒に囲まれている。
体育の授業の後は男子生徒に囲まれて、一緒にサッカーやら野球やらやっている。


「あー……早く実習期間、終わらねーかな」


気だるそうにリゼルが呟いた。


「お前まさか嫉妬してんのか?」


と、ハルクがからかうように言った。


「ちげーよ。ただ、目障りなんだよ」
「それが嫉妬と言うんですよ」
「おわっ! どっから湧いて出た!?」
「僕、一応……教師なんで、生徒達の事はちゃんと見てるつもりですから」


カルロはクスクス笑って続ける。


「サボってる間の事は流石に見れないですけどね」
「……気色悪いヤツ……」
「傷つくなぁ。初めて言われましたから。それより──」


カルロは目を細めて、ハルクを見る。


「何だよ」
「あの子は一緒じゃないんですか?」
「教師の癖に聞いてねーのか?」
「おい、リゼル。やめとけって」
「今日は少し寝坊してしまって……職員会議の代わりに説教くらいました」


カルロは笑いながら言った。


「教師が寝坊かよ! ハハハ、笑える──」
「あいつは風邪で寝込んでる。けど、それで良かったって思ってる」
「どうしてです?」


ハルクは無言でカルロを睨む。


「あ! いたいた! カルロ先生!」


一人の女子生徒が彼の名を呼ぶなり、カルロは女子生徒に囲まれる。


「はぁ。またかよ……」


溜め息を着くリゼル。
ハルクは警戒心露にカルロを見ている。


「先生は結局、どの教科の先生になるんですか?」


一人の女子生徒が聞いた。


「勧められるのは数学から社会、科学と色々あるんですけど……本命は家庭科……希望なんですよ」

「家庭科ァ!?」


黄色い完成が沸き上がる中、ハルクとリゼルの驚きの声が重なったのは言うまでもない──





Suspicious teacher-怪しい先生-



END.
(2022.01.26)
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