Curry and rice




「アリス、悪りぃ!少し遅くなる!」


下校になり、珍しくアリスが図書室にも寄らず、早く帰ろうとしていた。
本来なら俺も帰ろうとしたのだが、ヤボ用が急遽入ってしまった。


「また先生に呼び出されたの?今度は何したのよ…」
「今回は呼び出しじゃねぇよ。何でお前は俺の顔を見るなり、呼び出しだと思うんだよ!」


喧嘩するつもりなんかねぇのに、こんな言い方したら──


「日頃の行いでしょ。で、どんな用?」


喧嘩になる、そう思ったのに。
今日のアリスは冷静だった。
だから俺も冷静さを取り戻せた。


「昼休みにクラスのヤツらとサッカーしてたら、窓割っちゃってさ。連帯責任で校長室を掃除しなきゃいけなくなった。だから、もう少し待っててくんねぇ?」


待つの当たり前だよな。俺、いつもお前の帰り待ってんだから。ところが。


「今日はスーパー寄りたいから先に帰る」
「待ってくれないのかよ!ひどくねぇ!?」
「ひどくないわよ。じゃあ、頑張ってキレイに校長室を掃除してきてね」


笑顔で手を振る、アリス。


「おい、一人で帰るのかよ!せめて誰かと一緒に帰っ…」
「知り合いは皆帰っちゃったわよ。じゃあね」
「ちょっと待っ…アリス!」


お前は一人で帰る危険を知らねェんだよ!

アリスを追いかけようとしたが、クラスのヤツらに捕まった。


「ハルク。ほら、俺達は仲良く校長室に行くぞー」
「ちょっと待ってよ! まだ話は──」
「アリスと一緒に帰りたいのはわかるけど、俺達にはまだ掃除が待ってるんだから。ね?」


こんな奴ら一瞬で──と、いきたいところだが……
そうはいかないのは現実。
こうなりゃ、急いで掃除を終わらせてアリスに追い付いてやる!



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