梅雨明け
雨は嫌い。
あたしの髪を乱すから。
大好きなあの人に
くしゃくしゃされたあの日の記憶を湿らせていくから。
滲んで流れて
干からびる
短い大恋愛
雨は嫌い。
あたしの涙を濁すから。
些細なことが我慢できなくて
流れた涙
止まらない言葉
終わらない雨
涙と重なっていく
滲んで流れて
干からびる
長い旅路の一瞬
雨は嫌い。
あたしを濡らすから。
差し伸べてくれる手は
いくら待っても
現れない
止まない雨は
あたしの心までも湿らせる
身も心もずぶ濡れになって
溺れてしまう、そう思った時
空に心に光が差す
手を伸ばせば届く距離に、ずぶ濡れのあたし
彼女に背を向け
あたしは歩き出す
背中越しに聞こえる雨音
静かに生暖かい風に書き消されていく──
終
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