隣のI LOVE YOU☆




「好きだって、言われても……なぁ」


友里は相手をまじまじと見る。
性別は問題ないのだ。
そう、性別だけは。


「どう見てもコップじゃない」
「毎日、キスをしている仲じゃないか。何を今更、恥ずかしがる」
「な、何を今更って……」


告白してきたのは、友里愛用のマグカップだった。
そりゃあ、毎日キスはするよ。


「毎日、マグ君って呼んでくれてるじゃないか!」


マグカップで、マグ君。
友里には、モノに名前を付けるクセがある。


「でも、付き合うったって……」


友里は想像する。
マグカップとデートをする自分。
夜景を背にマグカップとキスする自分……


「無理だ……どう考えても、無理だ」
「今まで僕を大切にしてくれた分、大事にするから!」


マグカップは友里を抱き締める。


「ごめんなさい」
「こんなに友里を──」
「しつこい!」


と、友里は顔を近付けるマグカップを突き飛ばす。

ガシャン──


「……あ」


出会いが突然ならば、別れも突然なのだ。





隣のI LOVE YOU☆....END....
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