あめだま*LOVE
「いらっしゃいませ」
仕事帰り、晩ご飯をとコンビニに立ち寄る。
おにぎりを探していたのに、手にしたのは──
「飴……?」
1袋、150円の飴だった。
買うつもりはない、戻そう。
「あれ?」
戻したくても、手がいう事をきかない。
仕方なく、おにぎり2個と飴を買った。
「ごちそうさま」
おにぎりを食べたものの、口の中が寂しくて……飴を1粒口に入れた。
「ん、甘い……」
ベッドに寝転がって天井を見つめる。
いつもと同じ真っ白い天井。
でも、何かが違う。
──飴を舌で転がしながら、目を閉じる。
フラッシュバック。
入社してから今までが日めくりカレンダーのように蘇ってくる。
ずっと、私は一生懸命やってきた。
それは今も変わらない。
慣れるまでは上についていこうと必死で、慣れたら下に教えながら先輩として必死だった。
「あぁ、そうか……」
自分自身に糖分が足りなかったんだ。
明日は、飴を1粒食べて会社に行こう。
もしかしたら、みんなは変わっていないのかもしれない。
仕事前に飴を1粒食べよう。
いい雰囲気だったあの人と、とろけるような甘い恋が出来るかもしれない──
あめだま*LOVE....END....
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