Love
そんなある日。
「痛……っ」
「どうした、メルト」
偶然、庭先を通りかかった時の事だった。
メルトがしゃがんで顔を歪めていた。
「大丈夫……虫に刺されただけ──」
「いや、これは──」
雀蜂系の何かに刺されたのか、メルトの足の小指が腫れていた。
このままでは──
「すまない──」
そう言って、彼女の小指を咥え強く噛んで毒を吸い出す。
あくまで応急処置だ。
「メルト、医者のもとへ急ぐ」
彼女を抱え、必死に走った。
「君の処置がなければ彼女は助からなかったかもしれん」
そう言われ、安堵する。
「……ありがとう、オペラ。すごく……カッコ良かった」
そう言ってくれたメルト。
その時の彼女の柔らかな笑顔は、まるで天使のようで──
「オペラ!」
「……メルト」
彼女と何となく、一緒にいる時間が増えた。
メルトの隣は心地よく、とてもいいものだった。
同時に彼女の笑顔を独り占めしたい、そんなことも思ってしまう。
きっとこれが“恋”なのだろう──
〈Love-恋-〉
END.
(2024.05.14)
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