大河 響鬼

「いつも100点なんて凄いね」
「大河くんだもん、当たり前だよ」


女子達の話し声が聞こえる──
オレにとっては、当たり前の結果。
聞き慣れた褒め言葉に飽きたのは、いつからだったか。

ま、どうでもいいか。





〈Awakening──?〉





普段の授業さえ聞いてりゃ、満点なんて当たり前。

退屈な毎日に刺激を与えてくれたのが、ゲームセンターだった。
勉強が出来てもゲームは大の苦手。
特に格闘ものが苦手だ。


「……このオレが負けるなんて──」


金の投入を繰り返す──
負け続きに苛立ちが隠せない。


「兄ちゃん、まだやんの? 金あんのな」
「何だ、君達は?」
「いいから面、貸せや」


人気のない裏路地に連れて行かれる。
ぞろぞろと仲間が現れ、僕を囲む。
これが噂に聞く、恐喝か。


「とっとと、金出せや!」
「嫌だね。間抜け面にやるもんなんかないね。金も時間も」
「何だと?」
「虫酸が走る……失礼するよ」
「待てよ」


オレの肩を一人の不良が掴む。


「汚い手で触るな」


振り払おうとした瞬間、そいつは地面に叩きつけられるように倒れた。


「貴様、何しやがる!」


不良達が驚くと同時に自分でも驚いている。
何だ? 手が……腕が軽い──


「ふざけんじゃねェェエエエエ!!!」


次々に殴り掛かってくる不良達。
オレの手や足が勝手に動く──
──パンチ、キック……エルボー……
まるでゲームの中のキャラクターみたいだ。


「……強い……っ」
「は……はは……はっはははは!!」


僕一人で全員を倒した。
笑いが止まらない──

何だ?
このゾクゾク感は……
快楽で満たされる──


「……なぁ、君達。オレの下につけよ」


勉強が出来る不良の頭(ボス)、悪くないね。

けど、つるむのは夜だけ。
あくまでも昼間は優等生の“オレ”──
そんな大雨の日、オレは氷川 愛流を助け仲間に加えた。

静かに夜が明ける──


「さぁ……今日も勉学に励むとする、か」





Awakening(覚醒)──?





....END....
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