Scene6
何とか、宿にありつけたけど……3人が同じ部屋やって……
ジュンはともかく、フィアナはまずいやろ。
「あの……添い寝してもいいですか?」
「……まずいやろー!」
フィアナの発言から、アカン……
「いいじゃん、来いよ」
「アカン、お前は俺と床や。フィアナはベッドな」
「そんな! 私はもう床……いえ、地中でも──」
「モグラちゃうで。あんな、女の子は男に甘えてええんや」
俺の言葉にジュンも激しく頷く。
「あ、あの! せめてこれを……」
そう言うと、フィアナは手を振りかざし何かを呟いた。
すると、床一面に──
「ありがとうございます。けど……固い床だと背中を痛めてしまいますから」
「優しいじゃん! 益々、惚れちゃ──」
「毒キノコだと思うで」
「おい。女の子の好意は素直に受け取れよ」
ジュンは床の上のキノコに寝転がる。
「あぁ……気持ちい──」
みるみるジュンの顔が青くなる。
「ほれ、言わんこっちゃない」
フィアナにキノコを片付けるよう言って、ジュンを風呂に連れ出す。
「ったく、何で男なんかに僕の美肌を晒さなきゃいけないんだ……」
「お前さ、あのままおったら死んどったで」
「美女の胸の中で死ねるなら本望だ」
「いや、毒キノコに包まれてや……まだ匂うんやけど」
「これは僕の香りさ。美男の香りってやつだね」
「何やねんソレ!」
聞くところによると、ジュンは風呂に入ったことがないらしい。
……理由は単純、全裸で過ごすことが多いから。
美意識高めに見えて、変な奴やわー……
「…………き、気持ちいい……」
ジュンは湯船に浸かるなり、目を輝かせている。
露天風呂や思うたのに、男湯は一人がやっと入れるくらいの大きさやった。
「はよ、出ろや」
「肌、スベスベ…………しかも、いい匂いがする……」
「いい加減、交代や言うてんの!」
──結局、ジュンは3時間近く風呂に浸かっとった。
「はぁ……一気に色々なこと起こりよって……夢やったらええのにな」
「……僕の裸、夢にしようとするな」
「色々、ツッコミたいんやけど。アカン、疲れたわー……」
この時の俺は疲労感に負けて、違和感に気が付いてへんかった──
「さてと……お待ちかね、僕のじ・か・ん」
──ジュンが囁くように言った。
END.
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