Scene4




夜が近づくにつれ、少しずつ肌寒げなってきた。
俺は正装服を彼に掛けた。

すると、勢いよく男は起き上がった。


「ぎゃっ!!……痛い……この服……体質に合わない……」


と、正装服を投げ捨てた。


「ふぅ。助かったぜ」


そのまま正装服は……
泥沼に──


「ああっ! 何てことする──」


泥沼に伸ばした手が止まる。
正装服は泥溜まりの中、真っ白のままだった。
まるで見えない何かに守られているかのように。


「僕はジュン! あ、いや……何にしよう。ジューン? 何かジメジメだな……ジュース? 喉が渇くな……うーん……」
「ジュン。何であんな所に倒れとったんや」
「何で僕の名前知ってんだよ」
「さっき、思いきり名乗ってたやんか」


アカン……また変なのと関わってしもたわ。


「そっか、僕またドジを……」
「ワケ有りってヤツ──」
「僕さ、フェロモンも強いしエロいんだけど……中々、誘惑が上手くいかなくて」


そう言いながら、ジュンはセクシーポーズらしき動きをする。
正直、男の俺には最強に萎えるものやった。

フィアナも、そういうことには疎いみたいで毒キノコと話をしている。


「あ、コレ(パンツ)脱ぎ捨てていい──」
「却下や!!」
「何でさ……僕のこと、全て知って欲し──」
「もう十分、分かったで。俺、神の使いやから」


う、嘘は言ってへん……
今は見習い言うても、いつかは──


「ふん、なるほど。だから、拒否反応を示したのか」
「俺も色んな意味で拒否反応を示しとるわ」
「まあ、いいよ。近くで誘惑と殺るチャンスを待つさ。上手くいけばアヤメ様に……フフフ」
「アヤメ、やと?」


アヤメはカノンを拐った。
それにや……もしかしたらミストも……

こいつ……ジュンを上手く手懐ければ、あいつのところに辿り着けるんやないか?


「アヤメ様をしってるのか?」
「な、ジュン。添い寝してやっから、アヤメの居場所教えろや」
「はぁ? 何言ってんだよ、超ドン引きなんだけど……僕さ、子猫ちゃんのみなワケよ」


急にまともになりおった……
俺、こいつ何や苦手やわ。


「──にしても、僕好み。一緒にいていい?」
「え、あ……どうしよう……」


フィアナが俺を見る。


「どうしよう……モテ期到来……」
「ちょ、何や色々と勘違い入っとるがな!」





END.
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