Scene3
「力、やて?」
「そう……私ね……人を癒せるの。それと──」
「癒し系……には見えへんけど……」
どう考えても不思議ちゃんやんけ。
「あ! 分かりました……西の街の方に向かったそうです」
「西やて?」
西言うたら、アヤメが消えた方やんか……
まさか──
いや、悪い方に考えたらアカン。
「……西の街は最近荒れていて危険とも言ってるわ」
フィアナは目の前にいる小鳥と会話が出来るらしい。
この能力はとても心強いかもしれへん。
「モンスターは勿論、人間にも気を付けるように忠告を受けました……ありがとうね、毒キノちゃん♪」
「え? 毒キノ──」
──能力も癒し系ちゃうやんけ。
「とにかく、西の街へ向かいましょう」
「せやな……んで、お嬢の目的はなんや」
「……あは、バレました?」
ちょいズレてはいるけど、悪い子ではなさそうなんは分かる。
せやけど──
「俺が神父や知るなり、態度を変えたり。西へ急ぎたいみたいやし?」
「そうなんです! 占いオババ曰く、私の運命の相手が西28番地にいるらしいのです」
「どこやソコ。聞いたことあらへんけど」
「そうなんですよねー。私も聞いたことなくて」
多分、お金だけムシられて騙されたんやろな。
この子も暫く行けば気付くやろし。
旅は道連れなんとやら、やな。
「あ! 神父様」
「オルフェや」
「……オルフェ様……」
「何で赤くなんねん!」
「私……殿方の名前を口にするなんて初めてで……」
それを聞いて、ふと思い出した。
この世界には神によって、女しか存在しない場所があると聞いたことがある。
「お前まさか──」
フィアナは何かを誤魔化すように笑った。
「言いたくなったら、聞いたるで」
「あの……オルフェ様……」
「鼻押さえて、どないしたん」
「あそこに……ら、らららららら裸体俗の方が──」
「んなもん、おるか!」
叫んで、フィアナが指差した方を見る。
「おったわ! いや、全裸じゃあらへん! 際どいけどパンツ履いとるで!」
首に人差し指をそっと当てる。
──と、男はピクンと反応した。
「怪我はしてないみたいやけど……」
「……まぶ……し……」
絞り出すように男は言った。
日光が苦手、なんか?
彼を担ぎ、木陰の下で寝かせた。
フィアナは目を輝かせて男を見つめておるんやけど……
END.
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