このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

Anemone

【side·R】


もっと近づきたい。もっと触れたい。

あなたにあたしは映ってる?



久々にハルクと二人だけで過ごせる日。あたしにとっては貴重な時間。

アリスは兄貴が連れ出しているから、しばらくは帰って来ない。

なのに、ハルクはさっきから落ちつかないのか、窓の方ばかり見て、こっちを向いてくれない。



「ハルク。さっきから外ばっかり見てる…」

「いや、アイツ、大丈夫かと思って…」


この場合のアイツは、アリスのことだ。

もうアリス、アリスって!ハルクの恋人はあたしでしょ!?目の前にいるあたしを見て。

いい加減、頭にきたんだから!
あたしはハルクの膝の上に強引に座った。そんなあたしにハルクが目を丸くする。



「ラセン?」

「せっかく二人きりなんだから、もっと恋人らしいことしようよ!」

「恋人らしいこと?」

「そう。例えば…」


ハルクの首に腕を回して、抱きつく。それから唇を軽く押しつける。



「久々だね、こうするの…」

「ラセン。ちょっと待っ…」


もう一度、キスする。
恋人の特権。あたしはハルクの恋人だから、いつでもキス出来る。その先のことだって。



「ハルク…」

「ラセン。何かおかしくねェ?どうかしたのか?」

「ハルクは今あたしのことだけ考えてくれたらいいの…」

「何言って…!」


ハルクを押し倒して、その上に跨がる。あたし、イケない子かな?でも、いつまでも待ってられるほどイイコじゃないんだよ。



「ラセン?」


あたしを見上げるハルクは新鮮だった。いつもはあたしが見上げる方だから。

あたしの愛しい人。



「ハルク」


ハルクの唇を指でなぞる。あたしだけのもの。唇だけじゃない。髪も瞳も腕も何もかも全部、あなたはあたしのものなの。

アリスがいないこの瞬間、あなたの中にあたしをどれだけ刻めるか。それが大事なの。


見つめ合って、あなたとあたしだけの世界。他の誰も入れない。アリスさえも入ることは許さない。



「大好きよ、ハルク…」


それ以上、言葉なんか必要ない。
二人だけの時間は、次いつ取れるかわからない。だから、せめて今だけはあなたといたい。

ハルクに抱きついたまま、あたしは眠る。幸せなはずなのに、涙が流れた━━━。





【END】
2/2ページ
スキ