Queen anne's Lace




切れたスマホを片手に彼は笑う。


「俺の心配までするなんて優しいね、ハルクは…」

空を見上げると、月が浮かんでいた。それを見て、彼は呟く。


「俺の心を満たしてくれるのは だけ。でも、もういないから、満たされることはない…」

「ミカド、そんなところで何してるの?」

「んー?お月様眺めてただけだよ」

ベランダにいるところを女が声をかけてくる。愛想笑いを浮かべながら、彼はベランダから室内に入った。



(いつかこの心が満たされる日は来るのかな…)

ふと彼の中にある少女が思い浮かぶ。けれど、彼女は“彼女”ではない。


(でも、似てるんだよな…)

そう考えながら、彼は目の前にいるまったく違う女に覆い被さった…。





【END】
(2021.12.24)
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