Solanum lyratum




今日はクリスマスイブ。
おれの友達も今年は彼女と過ごすんだーって、自慢するヤツもいました。きみ、去年はこちらの仲間だったくせに!
だから、同じ彼女いない仲間達と一緒にで早く別れろと呪ってやりました。


でも、羨ましい。
おれだって、可愛い恋人がいれば、もちろんクリスマスデートがしたかった。

ふと隣を見る。隣にいるのは、可愛い彼女。……可愛い、かの、じょ。

うーん、いくら想像しても、彼女に見えない。彼氏彼女という雰囲気にもならない。いつだったか学校でも誰かに「やり取りが夫婦みたいだ」とか言われたし。何で?どの辺が夫婦なの??

そもそもハルクとおれで甘い雰囲気が全然、想像出来ないのもあるんだよなー。


「は~。可愛いだけは合ってるんだよなー」

「お前、さっきから人の顔ジロジロ見てるけど、何なの?」

今日はハルクとクリスマスデート……じゃない。街まで買い出しに来ただけである。現実が辛い。辛すぎる!


「べっつにー。何でおれの隣には可愛い彼女じゃないんだろうと思って。ハルク、顔は可愛いけど中身は全然可愛いくないし」

「……悪かったな!」

「痛てー。暴力反対!」

ハルクが彼女でもいいかなって一瞬だけ考えたけど、やっぱヤダ。ハルク、容赦なく殴るし。可愛くても暴力的な子はご遠慮したい…。ラセンはハルクのどこが良かったの?
やっぱりここは、リクみたいな可愛くて優しい女の子がいい。リクは本当に天使だった。出会うまでそんな天使みたいな子なんて、いる?…と思ってたぐらいだし。


「…ったく、本当に一言余計なんだよな、コイツは」

「ハルク、何か言った?」

「言ってねぇよ、バカ。さっさと買い物しないと混んで来るから行くぞ、荷物持ち」

「でもさ、何でおれ?ラセンがいんじゃん。恋人と行けよー」

「働かざる者食うべからず。お前のご両親からもお金はいただいてるんだよ。ラセンとセツナにも別の方の買い物は頼んであるし。つべこべ言わず、さっさと歩く!」

「はーい…」

ハルクに腕を引っ張られ、買い出しに連行された。やっぱりクリスマスは可愛い彼女と街を歩きたかった!その予定はないけどさ。


「あの子、可愛いな…」

「スタイルもいい…」

さっきから歩いていると、男からの視線をやたら感じる。その視線の先を見ると、どう見てもおれの隣。男達からの「可愛い…」って呟きが聞こえてくる。たまに「隣にいる男、何?」とか「弟じゃね?」とか「彼氏にしては釣り合ってない」とか聞こえてくんだけど。おれ、恋人じゃねーし!
でも、きみ達。ハルクだけは止めた方がいいと言ってやりたい。すぐ手が出るぞ。あ、でも、M気質なヤツは喜ぶかも。ラセンはそういうタイプだったのかー。なるほど、なるほど…。




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