Spring starflower
どれくらい経ってからだろう。セツナとラセンが迎えに来てくれたのは。
「ハルク!やっと見つけたー!なかなか帰って来ないから心配してたんだよ。もうずぶ濡れじゃない!」
「アリスと出かけたまま帰って来ないし、ずっと連絡も取れないし。何かあったのか?」
「……」
心配そうに声をかける二人にオレは何も言えなかった。セツナに手を貸してもらいながら、オレはゆっくり立ち上がる。
「………っ、痛て」
さっき殴られたところから鈍い痛み。あの野郎、次あったら倍返しにしてやる!
「あれ?そういえば、アリスは?ハルクをこんなところに置いてって!」
「一緒に出かけたなら、何故いないんだ?ハルク…」
「アイツはもう帰って来ねぇよ。…オレのせいで」
あの時、傷ついた顔したお前をあのまま放置しなかったら、お前を失わずに済んだのか?
アイツに奪われずに済んだのか?
いくら考えても答えは出ない。
ただわかるのは、オレが二度とアリスと会えないことだけだ。
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