Bigleaf periwinkle 4




翌日。
朝食を作りながら、昨日のことを考えてしまう。あー、気になって仕方ねぇ!

でも、あいつ、次の日になるとケロッとしてるからな。前も似たようなことあって、心配してたのに「ハルクの心配性」って笑いやがったし。


そこへセツナとラセンが起きて来た。
あたしが作った朝飯を見て、ラセンが声を上げる。



「うわあ、今日もおいしそう!沢山あるし」

「ハルク。また無心で作っただろう?」


セツナに指摘され、目を逸らす。気になることがあると、どうも料理を沢山作ってしまう。食べられる分だけ置いて、残りはラップするもの、タッパーにつめて、夜にまわすとしよう。

……。
ある程度、片してから、時間を見ると、そろそろ起きないと学園に遅刻してしまう頃。なのに、アリスは未だに起きて来ない。



「アリスは?」

「見てない。まだ寝てるんじゃないか?」

「…ちょっと見てくる。飯は先に食ってていいから」


昨日のこともあるから、見に行こう。つけていたエプロンを外して、アリスの部屋に向かう。



「アリス」


ドアをノックするが、返事はない。まだ寝てるのかもしれない。



「起きねェと遅刻するぞ。アリス!」


ドアを開けて、中に入る。ベッドに膨らみがある。何だよ、寝てんのか。心配して損したわ。またコイツにからかわれるとこだった。



「おい。いい加減、起き…」


布団をめくった。しかし、そこには誰もいない。いない代わりに1枚の紙だけが残されていた。それを読んで、あたしはようやく昨晩の自分の行動の愚かさに気づく。



「あのバカ…!」


紙には慌てて書いたような字で短く書かれていた。




“ごめん。しばらくは一人になりたい”


あのまま一人にするんじゃなかった!拒否されても一緒にいるべきだった。





【続】
(2022.01.14)
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