Bigleaf periwinkle1
スーパーにやって来ると、店内に入り、カゴをカートに入れて、ハルクと一緒に回り始める。ハルクが商品見てはポンポンとカゴに入れてく。
「…あ」
「どうしたの?」
「サラダ油を切らしてたなと思って。ちょっと取ってくる!」
そう言って、ハルクはすばやくサラダ油のある棚の方へを行っとしまった。
あー、お菓子コーナーに行きたい。でも、勝手に動くとハルクに怒られるからなー。小さい頃も同じことで母さんに怒られたんだよな。
「アリス?」
突然、誰かに名前を呼ばれた。振り向くと、赤髪に緩いウェーブがかかった長い髪のちょっとつり目の可愛い女の子がいた。
“よわむしアリス!”
そう言って、よくおれのことをいじめてたつり目の女の子。昔の面影が残ってたから、すぐにわかった。
「エリカ…?」
「こんなところで何してるの?」
「…別に。エリカには関係ないじゃん」
面倒なやつに会っちゃったな。昼間、母さんと話してたせいなのか?
神様、女の子と出会いたいと思っていましたけど、こいつとだけはないです。チェンジをお願いします。
「リクと来てるの?」
「だったら、何?」
「相変わらず妹と一緒にいるの?気持ち悪い…」
それを言いたいだけかよ。本当に嫌なやつ。大きくなっても中身は全然変わんないじゃん。
「アリス。これで買い揃えたから、レジに…」
そこへハルクがサラダ油を持って、戻って来た。リクと来ていると思っていたエリカが眉を寄せた。そして、
「誰?この女…」
「おまえに関係ないだろ。ハルク、行こう」
「あ、ああ…」
おれはハルクと一緒にレジへと向かう。だが、エリカはまだおれに用があるのか呼び止めてくる。
「ま、待ちなさいよ!アリス…」
「何?またおれをいじめて遊びたいの?」
「違うわよ!私は…」
「おまえさ、彼氏いるんだろ?おれに構ってる暇あったら、彼氏と会えば?」
そう言ったら、エリカは何故か泣きそうな顔をした。でも、おれには関係ない。
「ハルク、行こう…」
「うん…」
レジを済ませ、袋に買った物を詰めて、スーパーを出る。帰り道、ハルクと歩いていた。
「アリス、さっきのヤツって…」
「エリカのこと?」
「そう。女に優しいお前にしては、随分態度が冷たかったからさ」
「優しく出来るわけないじゃん。あいつだよ。おれのことをよくいじめてた相手は」
「でも、あの態度からして、お前のこと…」
「そんなわけないじゃん。あいつ、おれがリクと一緒に暮らしてるの見て、他人同士で暮らすなんて気持ち悪いって言ったんだよ!」
「アリス…」
「もうあいつの話、やめよう。ムカついて仕方ないから」
その後、家に帰るまでは話をすることなく、帰ってきた。いつもなら他愛ない話をしながら帰っていたのに。
【続く】
(2022.01.01)
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