Ⅰ
そんなある日。
父さんがまた新しい玩具を買って来た。珍しくシトリンも一緒だったらしい。今回は、男女の双子だ。
「アメジスト。見て!可愛いでしょ」
「…っ……ぁ!」
シトリンが男の方を俺の目の前に見せてくる。そいつはおどおどとしていた。俺とも目を合わそうとしない。だか、その瞳を見てみると、赤い目をしていて、よく見れば、目の色が左右で違っていた。キラキラ光るそれは、宝石のように見えた。
「綺麗だな…」
「……っ!」
「でしょ?こっちの子は緑なの」
もう一人の女を見た。そっちの方は男とは違い、俺を睨んでいた。その瞳の色はシトリンの言うとおり、緑だ。こちらも左右で違う。男の目と比べると、インパクトは弱いが、こちらの目もキラキラと光っていた。面白い。
「名前はコーラルとエメラルドって言うのよ。素敵でしょ?」
「俺達と同じ宝石の名前を持つのか」
「そうよ。だから、余計に気に入っちゃったわ」
そう言って、シトリンは二人を連れて行く。その後にシトリンについてる執事がついて行った。
おそらく男の方は、シトリンの一番のお気に入りになるだろう。シトリンの好みだったからな。
だが、何故だろう。
あの赤い目、俺の何かを惹き付けてやまない。
ラピスの瞳とは、対照的な色なのに───。
【END】
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