序章
そんな時、アメジスト様とシトリン様が通う学園にぼく達も通うことになり、そこでぼくは出会ってしまった。
多人数が相手でも一人で戦う美しい少女に…。
かっこいい。自分よりも背の高い男相手でも、彼女は強かった。的確に相手の弱い部分を狙って、攻撃していた。背後から狙われても、後ろが見えているかのように避けて、急所を狙う。
そして、あっという間に全員を倒してしまった。すごい。ぼくは感動して、拍手した。
「……おい、何見てんだよ…」
「……ぇ」
その場に立っていたのは、彼女だけ。
そして、隠れて見ていたはずのぼくは、立ち上がっていた。しまった。つい…。
「お前も何?あたしの敵??」
「ぼくは…その…」
こちらに近づいてくる彼女。
ふと彼女の腕に血がついていることに気づいて、声を上げる。
「腕、怪我してます!」
「ああ。これくらい何とも…」
ぼくは持っていたハンカチを取り出して、彼女の腕に巻く。
「一体、何して…」
「キツくないですか?」
「……うん」
「良かった!女の子に怪我は良くないですから」
「女の子…?」
はっ。ぼくは一体、何をして…!
いきなり見ず知らずの相手に何をしているんだ!
「ごめんなさい!」
「あ、おい…!」
恥ずかしくなったぼくは、その場から走り去る。
これがぼくと彼女───インディゴ・ダイヤモンドとの初めての出会い。
この時のぼくは、まだ気づいていなかった。
彼女との出会いによって、ぼくの運命が変わることを。
「……変なヤツ…」
彼女が腕に巻かれたハンカチを見ながら、笑った。
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