序章
目を覚ますと、ぼくを覗き込む二人の姿。その二人を見て、ぼくはやっと安心出来た。
「コーラル」
「エメラルド、ターコイズ。…痛っ」
「無理して起き上がるな。昨日もされたんだろ?」
そう言われて、昨晩の出来事を思い返す。
ぼくの名前を呼びながら、彼女が嗤う。体や心は悲鳴を上げながらも、必死に耐えた。
思い出したら、震えが止まらなくなった。
「いや、だ……いやだ!…っ」
「コーラル」
「いやだ!…やめてください……許して!」
「コーラル!」
名前を呼ばれたと同時に抱きしめられた。
「もう恐くないよ。よく頑張ったね。だから、もう大丈夫だよ」
「……っ!うっ…」
エメラルドに抱きしめられて、背中を優しく撫でられた。ぼくにはこの片割れがいるから、この辛い世界でも頑張れるんだ。
「……悪かった。思い出させて」
ターコイズもぼくの頭を撫でてくれた。こんなぼくにも優しい友達がいる。それだけで幸せだった。
.