Special Christmas
「かっこ悪くないわ。それにあなたは、私が初めて自分で選んだ人なのよ」
「ラピス…」
「あなたと出会わなければ、私は色んな感情を知らないままだった。世界がこんなに色づいて見えるようにもならなかった。私を変えてくれたのは、あなたなの」
「おれも、おれも誰かをこんなに好きになれると思わなかった。おれに恋を教えてくれたのは、きみなんだ」
「私達、似た者同士ね」
見つめ合い、お互いのおでこをくっつける。二人で笑って、しばらくそのまま抱き合った。
すると、ルビーが私を呼ぶ。
「ラピス」
「なあに?」
「この先もおれとずっと一緒にいて」
「プロポーズ?」
「うん。まだラピスのおとうさんやおじいさんに全然認められてないけど、絶対に認めてもらえるように頑張るから。もしも認められなかったら、きみを連れ去るから覚悟して」
「うん。絶対よ?私が別の誰かと結婚させられそうになったら、私を連れ去って。置いて行かないで」
私達は見つめ合い、唇を重ねた。何度も交わす。もっと触れていたくて、一緒にお風呂に入り、戯れた。
ベッドでは、お風呂場とは一転して、激しく互いを求め合った。あまりに激しくて、息がしづらくても私達はやめない。何度も交わる。せっかくお風呂に入ったのに、私達の身体は汗まみれ。だが、そんなこと気にもならないくらい必死だった。
「ラピス…っ」
「ん……はっ…ルビー…」
「はあっ、ラピス!」
繋がりながら、ルビーに名前を呼ばれるだけで、こんなにも愛されているのだと感じた。
「ラピス…」
「ルビー。私だけを…見てっ…」
ああ、私もこんなに誰かを愛せることが出来たんだ。こんな感情、自分にはないと思っていたのに…。
ルビーが見つけてくれた。
アメジストとの時は、こんな激しく求めたことは一度もなかった。むしろ、私は冷めていた。アメジストが熱っぽい目で私を求めていても、同じものは返せなかった。
時折、アメジストが哀しそうに私を見ていたことはわかっていた。私は知らないフリをして、彼を抱きしめた。
もう私は、昔の私に戻るつもりはない。人形のように言われるがままなんて生きられない。感情を持ってしまったから。
「はあっ…はあっ、ラピス…」
「はあっ、はあっ……だめっ!」
疲れてきたルビーが私から離れようとした。だめ。離さない。せっかく一つになれているのに、まだ離れたくない。
私の愛する人。
もう彼から離れたくない。ずっと一緒にいたい。
だから、私の上にいる彼を呼ぶ。
「ルビー」
「何?ラピス」
「まだ足りない。全然足りない。もっと欲しいの。お願い。ルビー…」
「……っ!おれもきみが欲しいよ。ラピス」
「じゃあ、来て。ルビーのことしか考えられないくらいに私をめちゃくちゃにして」
すると、彼は再び私を抱く。……これでいい。
欲しくて、欲しくてたまらないって、ルビーが私を求めてくる。
でもね、私はその倍、それ以上にあなたが欲しいの。知らないでしょ?
求め合う彼にしがみついて、背中に腕を回すと、私はルビーの背中に爪を立てた。
「………っ」
ルビーが微かに顔を歪ませた。痛かったのだろう。でも、私はそれを見て、満足げに笑みを浮かべる。
だって、ルビーは私のものだから。もちろん私は、ルビーのもの。
ルビーの背中に私がつけた痕は残る。しかし、傷はいずれ治って消えてしまう。
でも、私はこうしてずっとルビーの背中に爪を立て続ける。
他の女などに奪われないために。
もしも、私からルビーを奪う女がいたら、容赦はしない。地獄に突き落とす。奪ったことを後悔させるように───。
【END】
2/2ページ